介護施設
介護人材確保・職場環境改善等補助金の申請と活用方法
意外と知らない介護経営のポイント
株式会社メディックプランニング 代表取締役 三好 貴之
厚労省は、介護人材確保や介護現場の生産性向上を目的として 「介護人材確保・職場環境改善等補助金」 (以下、補助金)を新設しました。この補助金は、令和7年度の介護職員処遇改善加算の計画書と同じスキームで提出となるため、補助金を申請する場合には、4月15日までに提出が必要になります。
ただし、この補助金の実施主体は都道府県であり、補助金の申請は 「都道府県」 、処遇改善加算計画書は市町村などの 「指定権者」 と異なるため、双方に提出しなければなりません。
この補助金は、介護職員が配置されている介護予防も含めたほぼすべての事業種別が対象になりますが、訪問看護や訪問リハビリ、福祉用具貸与などの介護職員が配置されていないと想定される事業所は対象外となります。
ただし、この補助金の実施主体は都道府県であり、補助金の申請は 「都道府県」 、処遇改善加算計画書は市町村などの 「指定権者」 と異なるため、双方に提出しなければなりません。
この補助金は、介護職員が配置されている介護予防も含めたほぼすべての事業種別が対象になりますが、訪問看護や訪問リハビリ、福祉用具貸与などの介護職員が配置されていないと想定される事業所は対象外となります。
▼補助金の受給要件
この補助金の受給要件は、以下の3つです。
(1) 介護職員等の業務の洗い出しや棚卸しなど、現場の課題の見える化
(2) 業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活動等)
(3) 業務内容の明確化と職員間の適切な役割分担の取り組み
見ていただくと分かるとおり、どのような事業所でもこうした取り組みは、公式もしくは非公式に行われているのではないでしょうか。例えば、職員間のコミュニケーションのなかで 「送迎の順番は、このほうが良いよね」 「入浴の時間を少し早めよう」 といったやり取りが行われていれば、すでに(1)の要件を満たすことができます。これを、職員間のコミュニケーションで終わらせることなく、事業所や部署全体で共有すれば、さらに、業務を効率化することができ、職員の負担を軽減し、介護現場の生産性を高めることにつながります(図)。


▼補助金の対象
この補助金の対象は、大きく分けて2つあります。
(1) 職場環境改善経費
介護助手等を募集するための経費や、職場環境改善等(例えば、処遇改善加算の職場環境等要件の更なる実施)のための様々な取り組みを実施するための研修費等の経費が含まれます。特に、処遇改善加算を算定できていない場合や
算定していても低い基準しか算定できていない場合は、この補助金を活用してほしいということだと思います。
注意点としては、この補助金は、介護テクノロジーなどの機器購入費用には使えません。
算定していても低い基準しか算定できていない場合は、この補助金を活用してほしいということだと思います。
注意点としては、この補助金は、介護テクノロジーなどの機器購入費用には使えません。
(2)人件費
この補助金は、処遇改善加算同様に介護職員やその他の職員に対して、賃金アップの目的で使用することが認められています。しかし、この補助金は、処遇改善加算のように毎月支払われるものではなく、単発の補助金になるため、ベースアップのように毎月、費用がかかるものに充ててしまうと持ち出しが大きくなります。よって、賃金に充てるよりも(1)職場環境改善経費として優先的に利用するほうが現実的であると思います。
注意点としては、補助金の交付対象期間において、前年同時期と比較し、人件費改善の対象とした職員の平均的な賃金水準(賃金の高さの水準をいう。以下同じ)を低下させてはいけないので、前年度と同様か微増程度にしておくのが良いでしょう。
注意点としては、補助金の交付対象期間において、前年同時期と比較し、人件費改善の対象とした職員の平均的な賃金水準(賃金の高さの水準をいう。以下同じ)を低下させてはいけないので、前年度と同様か微増程度にしておくのが良いでしょう。
▼業務改善は、間接業務を減らすことから
よって、この補助金を活用して、直接、賃金を上げるのではなく、間接的に職場の業務を見直し、労働環境を改善することにより、介護職員の採用を促進したり、無駄な業務を減らしたりして、介護現場の生産性を高めるような業務改善を実施していきましょう。
先日、ある通所介護の支援に行きました。利用者の登録人数が50名に満たない通所介護ですが、機能訓練指導員の作業療法士が 「書類が大変」 と言っていました。そこで、私がチェックに入ると、法的に不要な書類が半数近くあり、その理由をお聞きすると 「前の担当者からそのまま引き継いだので」 と特に何の疑問もなく作成していたようです。また、法的に必要な書類も、居宅訪問の記録がA4用紙に10枚ほど記録されていたり、ケアマネへの状況報告も毎月かなりの量を記載していました。居宅訪問の記録は、カンファレンスにて事業所内で共有しているため、写真とメモ書き程度に減らし、さらに、ケアマネへの状況報告も1/3以下に減らしてもらいました。
記録に関しては、介護ソフトを導入している場合は介護ソフトで完結するべきで、それ以上は手書きの記録を増やさないことです。また、紙カルテでの記録も法的に必要なものにとどめ、事業所内で使うローカルな書類はどんどん減らしていきましょう。
【2025. 4. 15 Vol.614 医業情報ダイジェスト】
先日、ある通所介護の支援に行きました。利用者の登録人数が50名に満たない通所介護ですが、機能訓練指導員の作業療法士が 「書類が大変」 と言っていました。そこで、私がチェックに入ると、法的に不要な書類が半数近くあり、その理由をお聞きすると 「前の担当者からそのまま引き継いだので」 と特に何の疑問もなく作成していたようです。また、法的に必要な書類も、居宅訪問の記録がA4用紙に10枚ほど記録されていたり、ケアマネへの状況報告も毎月かなりの量を記載していました。居宅訪問の記録は、カンファレンスにて事業所内で共有しているため、写真とメモ書き程度に減らし、さらに、ケアマネへの状況報告も1/3以下に減らしてもらいました。
記録に関しては、介護ソフトを導入している場合は介護ソフトで完結するべきで、それ以上は手書きの記録を増やさないことです。また、紙カルテでの記録も法的に必要なものにとどめ、事業所内で使うローカルな書類はどんどん減らしていきましょう。
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