組織・人材育成

面接のポイント~“おもてなし”の対応で良い噂創りを~

面接外における“おもてなし”の対応、準備について
株株式会社ウィーク  シニアコンサルタント 長谷川 周重
人材紹介事業をしておりますと、様々な企業の面接情報が入ってきます。面接は、企業により十人十色であり、そのやり方から、それぞれの企業のカラーや採用スタンスが見えてきます。今回は、面接についてお話をしたいと思います。

皆様、面接の流れはどのように行っておりますでしょうか。近年W EB面接もあたり前のようになってきました。会社によってはWEB面接のみで採用を行っているところも散見されます。もちろん、できればリアル面接のほうが良いと思いますが、一度WEB面接に慣れてしまうと思いのほか早くて便利で止められない。そのような声も聞きます。方法はどちらでも構いませんが、面接の大前提は、お互いのアンマッチを防ぐために行われる時間、であります。そして、できるだけ良い人を採用したいというのがゴールです。つまり、お互いにフラットな状態で面接を行いつつ、最終的には内定を出したときに求職者が一緒に働きたいと判断していただけるかどうかです。求職者の入社判断は何か偏っているわけではなく、総合的に判断されるものです。総合的な判断を行う際に、面接でのやり取りがとても重要になります。年収条件、労働条件の良し悪しも重要ですが、毎日働く職場が良いのか悪いのかもとても重要な要素です。

その上で、面接を効果的にするために、事前に面接の進め方、一連の流れを確認しておきましょう。できれば、その面接の流れ「型」を決めておくと良いです。だいたい決まっているよ!というのが普通かと思いますが、確認の意味で、決まっていても、決まっていなくても引き続きお読みいただけますと幸いです。何かの気づき、改善に繋がればと思います。

面接の流れ(型)は以下の通りです。今回は面接外(1,2,9)のところに触れて話を進めて行きます。

面接の流れ(リアル面接の場合)
  1.  受付
  2.  ご案内
  3.  自己紹介 アイスブレイク
  4.  企業説明
  5.  求職者への質問
  6.  求職者からの質問
  7.  事務連絡
  8.  終了のご案内
  9.  お見送り

このような流れが多いのではないでしょうか。1~9までの工程で、まず大事なことは面接以外の1,2、9です。これらがポイントになります。
 店舗や事務所に求職者が現れた時の1次対応が1の受付です。そして、次に、求職者を面接室へご案内、もしくは、少々お待ち頂く場合は待合席でお待ちいただく旨を告げ、改めてご案内をするという一連の流れがあります。ここで、私が特にお伝えしたいのは、“おもてなし”の対応です。ここに店舗力、企業力の差が大きく出ます。

そもそも、いつ、誰が、来店をされるかは事前にわかっているため、店舗であれば事務の方や薬剤師の方がお出迎えする準備ができるはずです。応対として、「お待ちしておりました。こちらにお掛けになって、暫くお待ち頂けますでしょうか」のたった一言で印象が全く違います。
特に、「お待ちしておりました」の一言はキラーワードで、この一言ですべてが行き届いているなと示唆できる言葉です。稀に事務員の接客が素晴らし過ぎる時もあるのですが(笑)

悪い例としてよくある話が、社長や店長しか知らない、一部のスタッフにしか連絡が行き届いていないということ。採用の背景には個々の事情があるとは思いますが、基本的には一緒に働くかもしれない求職者ですので、店舗一丸となってお迎えするスタンスであることが望ましいです。

そして、面接が終わり、9のお見送りですが、ここでも“おもてなし”の心(配慮)が必要です。
 こちらも悪い1例ですが、以前、求職者からこのような話を頂きました。ある調剤薬局の面接で本社へ行きました。面接を終え会議室の扉を開けると、次の候補者がスタンバイされており、さらにその方は同じ紹介会社経由の方であることがわかり、そのままエージェントも次の面接に入られるという状況で大変気分が悪かったという話です。

今時そんなことあるの?!と私も聞いて驚きました。求職者目線で言えば感じの悪い対応なのは明らかで、面接設定の問題、エージェントに問題があったかと思います。これを聞いた私は、あの会社はそのような面接をするのかと嫌でもインプットしてしまいました。一方で、企業側から見れば、限られた時間なのだから仕方がないという事かと思います。それでも、自己都合を優先すればするほど、気づかぬうちに配慮に欠けた対応が露呈しやすくなりますので注意が必要です。
 特に、最後のお見送りは終わりよければすべて良しです。面接の印象が残りますので求職者を患者様、お客様と考えて対応をして頂けると失礼なことは少なくなるのではないかと思います。
 サービス業では、お見送りで相手が見えなくなるまで見送るところがよくありますが、そこまでする必要はもちろんなく、最低限入口までは丁寧にご案内し、お見送り1礼をすることが良いのではないかと思います。

今回は面接外における“おもてなし”の対応、準備について述べました。次回3~8の面接について予定をしています。面接は、少しでも求職者に良いイメージでお帰り頂く。私はこれに尽きると思います。業界が狭いゆえに、良い噂も悪い噂も広まりやすい。「人の口に戸は立てられぬ」ですので、できる限り良い噂が広まり、自然と人が集まる会社になればと思います。


【2022.12月号 Vol.319 保険薬局情報ダイジェスト】