組織・人材育成

【続き】人事評価委員会の設置と活動内容、運営のポイント

人事・賃金制度の導入と適切な運用
株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功
人事評価制度においても、賃金制度と同様、原則としては、当初決めたルールに則って運用するのが理想ですが、導入当初は経過措置として、委員会を中心に様々な判断をする必要が生じます。今までの経験から、このことをおろそかにして単純に当初決めた通りに運用するだけでは、人事評価制度を上手く組織に定着させることは難しいと感じています。
また、人事・賃金制度を導入して定着したら、制度に関する職員の意識調査を行い、定期的に見直しを検討する必要もあるでしょう。若い労働力の確保が難しくなっている今日、人事評価や賃金等の処遇に関することは、人事担当者だけが注意を払うのではなく、委員会として、常に注意し見直しや管理職への指導を行う必要があると考えます。
すなわち、職員の不満や課題はできるだけ早く察知し対応をしなければ、人材の定着を図ることは、ますます難しくなるのではないでしょうか。

人事評価委員会を設置し、年間の事業計画を立て評価判定会議の実施等先述の活動を行うことで、職員の育成や処遇に関して組織的に検討することとなり、管理職の育成や職員の定着につながり、組織を活性化するものと考えます。

人事評価委員会等運営のポイント

人事評価委員会を運営する中心は、人事部と委員会の委員長になりますが、委員長の選出は、事務部長とか人事部長という事務職に限らず、看護部長とか医療技術部長などから行うことも必要です。組織全体に人事評価制度を定着させるためには、各部門のトップに関心を持ってもらう必要があるからです。また、委員会にオブザーバーとして外部の人間を入れることで、ある部門に有利になるようなことがなく、さらには、一般的な人事・賃金制度の運用を踏まえた判断をしてもらえることが期
待できます。

今まで、人事・賃金制度を導入していなかった病院においては、導入して数年は、人事評価結果を点数に置き換える作業や職員の意識調査のアンケートの集計、研修会の開催など、人事部の業務が増大します。人事評価システムを入れることも一方策ですが、システム構築や維持費にかなりの費用を要することから、当面は、手前味噌ではありますが、筆者のような外部の人間に、1年に数回支援をしてもらうことで、これらの作業を削減するとよいと考えます。委員会運営に力を注ぐためにも、人事・賃金制度の運用の一部をアウトソーシングされるとよいでしょう。


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【2024. 6. 1 Vol.593 医業情報ダイジェスト】