組織・人材育成

リーダーの立ち居振る舞いと、スタッフが望むリーダーの立ち居振る舞い

より良い組織を目指すためのリーダーのあり方を考える
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子
今年も線状降水帯が各地で発生することによる豪雨と猛暑の日々が始まっていますね。コロナ禍で行うことが出来なかった実地の防災訓練を企画されている医療機関も多いようですが、このような自然災害に対する備えの重要性が高まっていることを感じています。さて、今回はそんな何かしらのイベントが発生した際にリーダーはどう振る舞うことが良いのか、リーダーとスタッフそれぞれの視点から見えてきた組織の在り方のお話をご紹介いたします。

ケース:

九州にある法人に属する在宅医療を担うクリニックでのお話です。この度の診療報酬改定を受け、マイナンバーカードの利用促進など、医療DX化にしっかりと対応したほうが良いのではないかとスタッフから声が上がっていたのでした。

スタッフA 「院長!売り上げも上がりますし医療DX化を進めていきましょう」
院長 「そうだな。でも私は医師だから分からないよ」
スタッフA 「 『分からない』 ではなくて…これどうしますか?」
院長 「そうは言われてもどうしたら良いか分からないよ」

後日、筆者は上記についてスタッフAさんから 「愚痴になるのですが…」 と声を掛けられました。
スタッフA 「院長はいつも指示を出さないのです。私はただの一スタッフに過ぎませんし、私が指揮を執るのもおかしな話だと思いませんか?采配さえしてくれたら良いのに…」

この後、この話を聞いていたスタッフBさんからAさんが気付かないところで 「ちょっと良いですか?」 と筆者に声が掛かりました。

スタッフB 「院長先生はスタッフがやれば良いと思うことを自由にさせてくれるので、伸び伸びと仕事が出来る環境が私は気に入っています。さっきのAさんの話だって、院長からの指示を待たずにAさん自身が 『私がやっていいですね!?』 と判断を仰げば良いと思うのです。どうせ院長は自分から指示を出さないのですし、スタッフが発案したことにYESしか言わないのですから (笑) 」

その後、このクリニックの院長先生とお話をする機会があり、院長先生はこのようにクリニックとスタッフの方たちについて語られていました。

院長先生 「私は法人の 『雇われ院長』 なので、クリニックのマネジメントのことはよく分からないというよりも、自分が何かを決めたり指示を出したりする立場にないと考えているのです。だって雇われている立場の私が自分の組織のようにとやかく口を出すのもおかしいじゃないですか。正直、診療報酬制度もよく分かりませんし。それぞれのスタッフが気になったことをやってくれたら良いと思います。スタッフは新しいことを行うときには必ず声を掛けてくれますし、クリニックにとって悪いことを考えるスタッフなんていませんしね。このスタッフとの関係性が心地良いのです。何かがあった際に頭を下げるなど、責任を取るのは私なのでしょうし、本当はマネジメントのことを知っていたほうが良いのでしょうが…私は医者なのでね」


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【2024.8. 1 Vol.597 医業情報ダイジェスト】