組織・人材育成

組織を良くするために何から学べば良いか

組織力が高まるケーススタディ
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子
私はお客様の組織開発を目的とする研修をする機会が多いのですが、近年では研修を企画されている企業などから依頼され、公開セミナーとして組織づくりに関してお話しさせていただく機会も増えて参りました。公開セミナーとなると一般的な組織づくりのお話が主になるため、近年の組織に対する考え方のお話や多くの組織で課題となるケースを取り上げて解説をしていますが、大変ありがたいことに多くの参加者にお集まりいただいています。参加者の感想から 「私の組織ではこのようなことが悩みである」 という具体的な現場の様子を伺うことで、私自身も大変勉強になっています。
今回は、組織づくりに悩むリーダーのご質問から、組織をより良くするために何から学べば良いか、という組織づくりの取り組み方について考えていきたいと思います。

ケース

とあるセミナー企画会社からのご依頼で、医療専門職の管理職を対象に、組織づくりに関するオンライン研修を行った際のお話です。病院や診療所、在宅医療の事業所など様々な背景の医療機関で働く管理職の方が耳を傾けていただき、終了後も多くのご質問をいただいたことから、医療従事者の皆さまの間で組織づくりの関心が高まっていることを感じたのでした。
研修終了後、しばらく経つと1件のメールが筆者のもとへ届きました。

Aさん 「研修ではたくさんの学びがあり、ありがとうございました。リーダーとしての日ごろの立ち居振る舞いを振り返ると、胸に刺さるものがたくさんありました。自分自身で組織づくりについて更に勉強したいのですが、どのような書籍を読めば良いか教えてもらえませんか?」
Aさんは自組織で管理職となり数年が過ぎたとのことですが、組織をより良くするために 「何かを変えたい」 という想いからメールを送ってくださいました。

筆者 「研修を受講いただき、誠にありがとうございます。組織をより良くしたいというAさんの強いお気持ちは、日頃からお仕事と組織に真剣に取り組まれている証だと思います。心から尊敬致します。

さて、組織をより良くするために学びたいとのことですが、具体的にどのようなお悩みがありますか?

  • ご自身のリーダーシップスタイルに自信が持てない(このままで良いか不安など)
  • スタッフ育成に課題がある(育たない、指示が通らないなど)
  • 組織内のコミュニケーションに課題がある(部下と対話がしにくい、同僚との対話が苦手、思いを露出しにくい組織、そもそもコミュニケーションに課題があるかどうかわからないなど)
  • 他部署が絡む課題がある(特定部署との溝など)
  • 特定の人との課題がある(極端に指導が通じにくい、ハラスメントなど)
  • そもそも話し合う時間が取れない(業務過多など)
  • そもそも話し合おうという雰囲気が無い(改善に諦めがあるなど)
漠然と 『組織』 を学ぶよりも、実践に繋がる学びがほしいとメールから読み取りましたので、課題がより明確な方がAさんの願いに叶うと思いご質問致しました。

そして、ご自身の組織のことをどのように考えておられますか?

  • 自組織の良い点
  • 自組織の課題
  • 自組織のことを知らない人に自組織について説明するとしたらどう言う?
  • 自組織に所属するメンバーはどんな人?
具体的な課題を明らかにするためにも、上記のように自組織のことを客観的に捉えることからはじめられてはいかがでしょうか?お一人ではなくスタッフの皆さまと共に考えることもお勧めです。

Aさんのご質問の意図に沿えていないかもしれませんが 『Aさんの組織にとって、より良い組織づくりの絶対的な教科書』 というものは残念ながら存在しないので、自組織でスタッフと組織づくりの挑戦をしていくことが、ベストな活きる教科書になると思います」

その後、Aさんからすぐにお返事が届きました。
Aさん 「お返事ありがとうございます。おっしゃる通り、まずは自組織を振り返ることで課題や学ぶべきものを考えたいと思います。メールのやり取りから、組織づくりに対して、自分の自信の無さと漠然とした不安から焦ってしまっていたという、自分自身の振り返りになりました」

このケース、どのような感想を持ちましたか? このようなご質問はAさんだけではなく複数いただいており、同じようなやり取りをすることが多くあります。組織づくりに対して真剣になるばかりに、正解を求めすぎて自組織やご自身を省みることが出来なくなることは少なくないようです。組織はリーダーだけが作り上げるものではなく、スタッフも含めた組織員全体で作り上げていくものです。組織づくりを見直したいならば、学問も重要ですが、自組織のことを客観的に振り返ることからはじめてみてはいかがでしょうか?


【2026年2月1日号 Vol.19 メディカル・マネジメント】