組織・人材育成
何かが噛み合わないぞ!スタッフとの会話からの学び
リーダーの在り方とスタッフとのより良い関係性について
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子
季節は廻り、初夏を感じる日も増えてきました。アフターコロナを見据えて、改めて組織づくりを振り返るリーダーの皆さまのお声を伺うことが多くなってまいりましたが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
今回は「話を聞いてくれない!」と訴えるスタッフに戸惑う院長先生のお話から、スタッフの想いに答えられるリーダーの在り方とスタッフとのより良い関係性について学びを深めたいと思います。
今回は「話を聞いてくれない!」と訴えるスタッフに戸惑う院長先生のお話から、スタッフの想いに答えられるリーダーの在り方とスタッフとのより良い関係性について学びを深めたいと思います。
ケース:
「また『院長先生は話を聞いてくれない!』と言われてしまいました……」と力なく話をするのは駅近くの商業施設に入っているクリニックのA院長先生。A院長先生は日頃からより良い組織づくりのためにスタッフとの信頼関係作りに奔走されており、スタッフ一人ひとりとのコミュニケーションを大切にしています。そんな中で起こった冒頭のショッキングな出来事に悲しい表情の院長先生は、事の詳細をポツポツと話始めました。
スタッフBさんは最近入職して来た方で、指示されたことは正確にこなす非常に真面目な性格です。入職から3か月が過ぎ、基本的な業務内容は把握したある日のこと。Bさんが患者さんから「子ども医療助成制度の受給証」に関する問い合わせを受けたのですが、院内の職員誰一人として自信を持って対応することができませんでした。そこで、受給権は都道府県、市町村ごとに扱いが異なっていることもあり、まずは情報を整理・収集して職員全体で同じ知識を把握し、クリニックとしての対応を考えようとなりました。
翌日、Bさんから「A先生!昨日の受給証についてですが、〇〇市の住民はまだ届いていないそうです」と、断片的な情報についてA院長先生に報告がありました。院長先生としては、
スタッフBさんは最近入職して来た方で、指示されたことは正確にこなす非常に真面目な性格です。入職から3か月が過ぎ、基本的な業務内容は把握したある日のこと。Bさんが患者さんから「子ども医療助成制度の受給証」に関する問い合わせを受けたのですが、院内の職員誰一人として自信を持って対応することができませんでした。そこで、受給権は都道府県、市町村ごとに扱いが異なっていることもあり、まずは情報を整理・収集して職員全体で同じ知識を把握し、クリニックとしての対応を考えようとなりました。
翌日、Bさんから「A先生!昨日の受給証についてですが、〇〇市の住民はまだ届いていないそうです」と、断片的な情報についてA院長先生に報告がありました。院長先生としては、
・断片的な情報では、クリニックとしてどのような対応が必要なのか検討することができない
・その断片的な情報からBさんがA院長先生に対してどのような行動を求めているのか分からない
と困惑し、「……それで、私は何をどうすれば良いかな?」と返事をしたのでした。
Bさん「ひどい!『それで』という言葉がとても傷つきました!院長先生はいつも話を聞いてくれない!」
冒頭のA院長先生のご報告に繋がったとのことです。
上村「A院長先生は目の前でBさんの話に耳を傾けてその後のアクションを考えていたにも関わらず、そのような発言をスタッフからされたら困惑しますよね。そのお気持ちはとても分かります。Bさんとその後何かお話されましたか?」
A院長先生「Bさんは激しく動揺し、ショックを受けていたので『どういう風に受け止めたのか』『院長として何が足りないのか』ということを聞きました。Bさんは『<それで>という言葉で私の発言を打ち消したように感じた』『承認しほしい』ということを強く訴えていました」
上村「そうなのですね。院長先生はBさんがなぜ断片的な情報を伝えたのだと思いますか?」
A院長先生「知った情報は素早く伝えた方が良いと判断したからだと思います。そして情報を伝えたことを褒めて認めてもらいたかったのかなと思います。ありがとうと伝えたら良かったのかな……」
上村「Bさんの考えを慮ることができていますね。では、違う視点から考えてみましょう。前日のミーティングで『情報を整理・収集してから今後の対応について検討しよう』と話をしていたと思います。情報収集がゴールではなく、集めた情報からクリニックが対応すべきことを考えることがゴールのはずです。Bさんの言動は情報収集をすることがゴールと受け止めているように感じます。そしてA院長先生の言動は情報が集まり切っていないのに見えていないゴールに無理やり向かおうとしているように感じます」
A院長先生「……そうですね、噛み合っていませんね。そもそも『聞いてくれない!』『承認して!』ということではなく、お互いが目指していたものが違っていたのですね。料理で言うところの集めてきた食材を報告してくれていたBさんに対して、私がメニューの相談をしても『知らないよ!(他に何の食材があるかも知らないんだから)』となって当然ですね。『ありがとう、他にもあったら教えてね』『集まった情報を整理しようね』『今どのくらい情報集まった?クリニックとしての対応は検討できそうかな?』という声掛けもありでしたね。今行っていることがどういうことを目的にしているのか、お互いが考えていることを意識しながら会話していこうと思います!」
このケース、どのような感想を持ちましたか?
スタッフと経営層では立場が異なるので会話が噛み合わないと感じることは少なくないと思いますが、会話を通して業務改善を行う必要がある場面は数えきれないはずです。会話の中で何を目指しているのか、それがあっていなければ噛み合うはずがありません。このケースが日頃のスタッフの皆さまとの会話を振り返る機会になれば幸いです。
【2023. 5. 15 Vol.568 医業情報ダイジェスト】
Bさん「ひどい!『それで』という言葉がとても傷つきました!院長先生はいつも話を聞いてくれない!」
冒頭のA院長先生のご報告に繋がったとのことです。
上村「A院長先生は目の前でBさんの話に耳を傾けてその後のアクションを考えていたにも関わらず、そのような発言をスタッフからされたら困惑しますよね。そのお気持ちはとても分かります。Bさんとその後何かお話されましたか?」
A院長先生「Bさんは激しく動揺し、ショックを受けていたので『どういう風に受け止めたのか』『院長として何が足りないのか』ということを聞きました。Bさんは『<それで>という言葉で私の発言を打ち消したように感じた』『承認しほしい』ということを強く訴えていました」
上村「そうなのですね。院長先生はBさんがなぜ断片的な情報を伝えたのだと思いますか?」
A院長先生「知った情報は素早く伝えた方が良いと判断したからだと思います。そして情報を伝えたことを褒めて認めてもらいたかったのかなと思います。ありがとうと伝えたら良かったのかな……」
上村「Bさんの考えを慮ることができていますね。では、違う視点から考えてみましょう。前日のミーティングで『情報を整理・収集してから今後の対応について検討しよう』と話をしていたと思います。情報収集がゴールではなく、集めた情報からクリニックが対応すべきことを考えることがゴールのはずです。Bさんの言動は情報収集をすることがゴールと受け止めているように感じます。そしてA院長先生の言動は情報が集まり切っていないのに見えていないゴールに無理やり向かおうとしているように感じます」
A院長先生「……そうですね、噛み合っていませんね。そもそも『聞いてくれない!』『承認して!』ということではなく、お互いが目指していたものが違っていたのですね。料理で言うところの集めてきた食材を報告してくれていたBさんに対して、私がメニューの相談をしても『知らないよ!(他に何の食材があるかも知らないんだから)』となって当然ですね。『ありがとう、他にもあったら教えてね』『集まった情報を整理しようね』『今どのくらい情報集まった?クリニックとしての対応は検討できそうかな?』という声掛けもありでしたね。今行っていることがどういうことを目的にしているのか、お互いが考えていることを意識しながら会話していこうと思います!」
このケース、どのような感想を持ちましたか?
スタッフと経営層では立場が異なるので会話が噛み合わないと感じることは少なくないと思いますが、会話を通して業務改善を行う必要がある場面は数えきれないはずです。会話の中で何を目指しているのか、それがあっていなければ噛み合うはずがありません。このケースが日頃のスタッフの皆さまとの会話を振り返る機会になれば幸いです。
【2023. 5. 15 Vol.568 医業情報ダイジェスト】
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