組織・人材育成
医師のマネジメントと人事・賃金制度
医師の人事評価は目標管理を中心におき経営目標を達成する
株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功
人事・賃金制度を整備する目的は、職員を評価して賃金を決めることだと捉えていたり、あるいは運用の結果そのようになっていることが多いと感じます。しかし、真の目的は、労働集約型産業の病院において、多くの人材を上手にマネジメントし、生産性を上げ経営をよくすることにあるのではないでしょうか。
そして、最もマネジメントの効果が期待できる職種は医師だと思います。病院経営の中心的存在である医師に、組織に多大に貢献してもらうために、医師の人事評価や賃金のあり方を整備することが喫緊の課題であることは間違いありません。そこで今回は、医師の人事評価と賃金のポイントについて考えます。
そして、最もマネジメントの効果が期待できる職種は医師だと思います。病院経営の中心的存在である医師に、組織に多大に貢献してもらうために、医師の人事評価や賃金のあり方を整備することが喫緊の課題であることは間違いありません。そこで今回は、医師の人事評価と賃金のポイントについて考えます。
医師の人事評価は目標管理を中心におき経営目標を達成する
医師一人ひとりの医業収益の総和が病院の医業収益と言っても過言ではありません。医師が患者を診て、オーダーを出すから収益につながっていくのですから、医師に目標を立ててもらい、その目標を達成していくことで、経営目標を達成できるはずです。すなわち、医師の人事評価は、目標管理を中心とした制度にすべきと考えます。このことは、以前から推奨し、いくつかの病院に提案してきました。しかし、診療科長が医師との目標面接をすることができない、そもそも診療に忙しい医師が自ら目標を立て、アクションプランを書き実行することなどできないなど、さまざまな理由が述べられ反対されることから、医師に目標管理を導入するのは、かなり難しい取り組みだと言えます。
そういうことなら、管理職である診療科長には、診療面での管理だけを任せ、経営的な部分については、事務部長など事務局と院長が一体となって医師全員をマネジメントしてはどうかと考えます。すなわち、目標・中間・評価面接は、院長と事務の経営メンバーが、医師一人ひとりと面接を行い、目標設定をし、進捗管理を行い、目標を達成していってはどうでしょうか。もちろん、病院の規模や医師の人数にもよりますが、ポイントは、診療部任せにせず、事務局が医師のマネジメントにおいてリーダーシップを発揮することです。
そういうことなら、管理職である診療科長には、診療面での管理だけを任せ、経営的な部分については、事務部長など事務局と院長が一体となって医師全員をマネジメントしてはどうかと考えます。すなわち、目標・中間・評価面接は、院長と事務の経営メンバーが、医師一人ひとりと面接を行い、目標設定をし、進捗管理を行い、目標を達成していってはどうでしょうか。もちろん、病院の規模や医師の人数にもよりますが、ポイントは、診療部任せにせず、事務局が医師のマネジメントにおいてリーダーシップを発揮することです。
医師の目標設定と事務局等関係部署の支援と処遇への反映
医師の目標管理は、病院の経営目標を達成するために、自らが何をすべきかを1から考え目標設定をしてもらうよりも、「A医師には、この程度の入院患者を受け持ってもらわなければ、病院の目標とする収益を上げることができないのでお願いしたい」というように、経営目標から導き出した一定の枠組みの中で、目標を設定してもらう方法がよいと考えます。
医師においては、経営目標達成に向けて取り組んでもらいたい項目は、明確なものがあるはずですから、それらを目標にしてもらうことは、ある程度決めておき、目標値やアクションプラン(何を、どの程度、どのような方法で、いつまでにするのか)は、医師自らが考えて、目標を立てることとしてはどうでしょう。例えば、入院患者数、外来患者数、紹介患者数などの目標とすべき項目を決めておいて、医師個々の現状値を基に、院長、事務部長等との面接で目標値を決め、目標達成に向けたスケジュールを立て、それに沿って活動してもらうことが、病院の経営目標達成の近道と考えます。
この目標設定において大事なことは、医師に真剣に目標を達成するためのアクションプランを考えてもらうことです。例えば、紹介患者数を増やす活動をすれば、入院患者数や外来患者数も増やせると考えれば、まずは、紹介患者数を増やすアクションプランを立て、活動してもらうべきでしょう。したがって、アクションプランは、実際の活動につながるよう次のように具体的に書いてもらいます。①紹介患者数を増やすために、地域連携室に協力してもらい、6月と7月に開業医を集めた症例検討会を行い、適用症例の患者を紹介してもらえるよう活動する。②事務局に協力してもらい、地域の人を集めた健康教室を8月と9月に開催する。
医師の目標管理の重要なポイントは医師に丸投げしないことです。医師の活動を事務局が支援することで、必ず目標を達成するべきだということです。例えば、先述の健康教室の開催であれば、その準備や広報は、事務局の担当者の目標にも挙げられ、事務局と医師が共に目標を達成することになるわけです。医師の活動支援が、具体的に事務職の目標に挙げられることで、事務職の活動も病院の収益増に密接に関わることになります。進捗管理も当然事務局が行います。目標値の状態を定期的に医師に報告し、明らかに目標を達成できそうもない時は、新たな活動を考える必要があるわけです。
目標を達成し収益が上がれば、賞与等に当然反映させます。医業収益を予定通り上げることができれば賞与を2倍にしてもお釣りがきますし、インセンティブによってマネジメントはしやすくなります。
【2023. 10. 15 Vol.578 医業情報ダイジェスト】
医師においては、経営目標達成に向けて取り組んでもらいたい項目は、明確なものがあるはずですから、それらを目標にしてもらうことは、ある程度決めておき、目標値やアクションプラン(何を、どの程度、どのような方法で、いつまでにするのか)は、医師自らが考えて、目標を立てることとしてはどうでしょう。例えば、入院患者数、外来患者数、紹介患者数などの目標とすべき項目を決めておいて、医師個々の現状値を基に、院長、事務部長等との面接で目標値を決め、目標達成に向けたスケジュールを立て、それに沿って活動してもらうことが、病院の経営目標達成の近道と考えます。
この目標設定において大事なことは、医師に真剣に目標を達成するためのアクションプランを考えてもらうことです。例えば、紹介患者数を増やす活動をすれば、入院患者数や外来患者数も増やせると考えれば、まずは、紹介患者数を増やすアクションプランを立て、活動してもらうべきでしょう。したがって、アクションプランは、実際の活動につながるよう次のように具体的に書いてもらいます。①紹介患者数を増やすために、地域連携室に協力してもらい、6月と7月に開業医を集めた症例検討会を行い、適用症例の患者を紹介してもらえるよう活動する。②事務局に協力してもらい、地域の人を集めた健康教室を8月と9月に開催する。
医師の目標管理の重要なポイントは医師に丸投げしないことです。医師の活動を事務局が支援することで、必ず目標を達成するべきだということです。例えば、先述の健康教室の開催であれば、その準備や広報は、事務局の担当者の目標にも挙げられ、事務局と医師が共に目標を達成することになるわけです。医師の活動支援が、具体的に事務職の目標に挙げられることで、事務職の活動も病院の収益増に密接に関わることになります。進捗管理も当然事務局が行います。目標値の状態を定期的に医師に報告し、明らかに目標を達成できそうもない時は、新たな活動を考える必要があるわけです。
目標を達成し収益が上がれば、賞与等に当然反映させます。医業収益を予定通り上げることができれば賞与を2倍にしてもお釣りがきますし、インセンティブによってマネジメントはしやすくなります。
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2025-05-27「疑義解釈資料の送付について(その26)」を追加しました
2025-05-26
「疑義解釈資料の送付について(その25)」を追加しました
2025-05-03
「疑義解釈資料の送付について(その24)」を追加しました
[お知らせ]
2025-05-07【セミナーのご案内】新社会システム総合研究所主催「ミクロとマクロのデータ分析による エビデンスある病院経営戦略」
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『九州医事新報/中四国・関西医事新報/東海・関東医事新報』で「HMレビュー」が紹介されました
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