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求人票は、求職者による書類選考の書類

求人票は求職者へのラブレター
株株式会社ウィーク  シニアコンサルタント 長谷川 周重
採用は計画的に。と行きたいところではあるが、余剰人員で対応している企業はさほどなく、ほぼギリギリな人員で運営しているところがほとんどではないかと思う。そのため、急な自己都合退職や親の介護等で欠員がわかると今すぐ求人を始めなければならない。おそらく、退職の申し出から1か月から2か月後以内に退職となると想像している以上に求人募集の日数が足りない現状だ。
いざという時のためにスピーディーに対応するためには事前準備が必要不可欠で、その代表的な準備に求人票を整えておくことが大切だ。

求人票は求職者へのラブレター

私が薬剤師の人材紹介支援を始めていくつか驚いたことがあるが、その一つが企業から求人票を頂くことが殆どないということである。おそらく求人票を作るという文化が業界に浸透しなかったのであろう。求人票はとても重要な書類で、人材紹介会社が企業と求職者を繋ぐ唯一の書類となるものだ。また、人材紹介会社は求職者に対して労働条件等の明示をすることになっているため、あらかじめ求人募集企業の情報を得る必要があり、ある程度説明ができるようになっていることが必要である。なかには、企業から発信される求人票は企業からの求職者へのラブレターであるという言い方をする方もいる。

しかし、「ホームページに書いてある募集要項をみて」とか、「有料の求人媒体、ハローワークに記載している内容を見てほしい」といった求人依頼が多い。
しかも実際見てみると内容が乏しく必要最小限な情報、もしくは、それ以下のため求職者から応募意思を得るにはあまりにも情報が少なすぎる。そのため、人材紹介会社は電話やメールでヒアリングを行う。または、現地取材でインタビューをするなど、代わりに求人票を書き起こす作業を行う。しかしできることなら、最初から企業発信の求人票を頂けることに越したことはない。実際記載されている内容は強調してPRすることができるので、説得力がありお勧めしやすい。また、もう一つのメリットとして複数の人材紹介会社に対してまとめて標準的な募集依頼を行うことができるので、よりスピーディーで効率も良い。

求職者による書類選考

企業から求人を受け取った人材紹介会社は、求職者探しのために代理で求人広告を行い、転職相談をしてきた求職者に該当と思われる求人を提案する。その後、求職者より応募意思を確認し企業へエントリーするという流れになる。つまり、求人票を見て求職者が応募するかしないかを決めるため、求人票がいかに魅力的であるかどうかが応募の分かれ目になる。大手の人材紹介会社であれば1人に対して10件前後は紹介しているはずだ。
さすがに、求職者もすべてを応募することはないため、ある意味、求職者側による企業応募への書類選考がここで行われている。この10件ほどある中で、各人材紹介会社のキャリアアドバイザーの采配がおきる。通常、人材紹介会社はキャリアアドバイザーが面談を30分から1時間以上行っている。ここで、転職理由や人物チェック、希望条件などを伺う。ただ聞くだけではなく、話をしながら人材紹介会社の介入が始まっていると言ってよい。
特に、求職者に合わせて条件の良いところやお勧めの求人企業があれば、その求人をPRする時間を割いている。
逆もしかりで、悪い情報も発信し交通整理をしている。ここでは多くを語らないが、業界が狭いためあらゆる情報が耳に届き易い。また、実際に働いている求職者から日々情報を集めているため、社風や制度など知っていることが多い。

話は戻るが、前月お伝えしたアトラクトを強めるためにも、求人票にプラスしてPRシートを作成することはここで大きな効果を発揮するので大変有効だ。もちろん求人票に上手くまとめても良い。
求職者側の書類選考をクリアすれば無事に応募にいたる可能性が膨らむ。

まとめ

求人票は 求職者側の書類選考となる企業の書類になり、人材紹介会社が求職者にPRをする際の素材になるためとても重要な書類になるということである。応募を増やすためにはしっかりとした求人票を求職者に見て頂くことを忘れてはならない。
最後にもう一つ応募促進のポイントとして、人材紹介会社に求人を依頼後に、まめな連絡をお勧めする。メールでも結構だが、電話だとなおよい。宛先は、キャリアアドバイザー(求職者担当)であるとさらに良い。人材紹介会社に対して、積極的な採用姿勢をアピールすることで印象付けをすることができ、担当者レベルで意識的に応募の勧めを行ってくれる可能性が高くなる。ある意味アナログ的なところではあるが、ほとんどの会社が依頼をして待ちの姿勢であることが多いので十分な差別化になる。これを細目に行うことでお互いの理解を深め合うことができ、結果として優先的に対応してもらえるようになる。特に、単発的な依頼で急募になっているときはやってみて欲しい。1週間から2週間に1回程度で良い。
もし、エリアに候補者がいなければ現状維持、応募同意が取れない場合は、どうして取れないのかを確認をして、その時に条件変更の検討をしてみると良いのではないかと思う。


【2022.11月号 Vol.318 保険薬局情報ダイジェスト】