保険薬局

【続き】ペーパーレス時代の納税:納付書なしで納付する方法

法人税の納付書が配布されなくなった
アシタエ税理士法人 税理士  薬剤師・認定登録医業経営コンサルタント 市川 秀

クレジットカード決済がお得?

顧問先様からよく 「税金の納付で、クレジットカードを使えばポイントが貯まってお得になると聞いたが本当ですか?」 と質問を受けます。おそらく情報サイトから得た情報だと思いますが、いくつか注意しなければならない点があります。
まず、クレジットカード決済には納税額に対する決済手数料が別途かかります。この手数料が意外と高く、ポイント還元率と比べると逆に損になることがあるので注意が必要です。
しかし、クレジットカードで納付することには利点もあります。例えば、一時的に資金繰りが厳しい場合、クレジットカードの使用で支払いを先に延ばすことができる点です。これにより、一時的な資金不足を乗り切ることができます。また、クレジットカードの利用明細が納付の記録として残るため、納付管理がしやすくなるという利点もあります。
このように、クレジットカード納付にはメリットとデメリットがありますので、納付税額と決済手数料のバランスをよく考慮し、最適な方法を選ぶことが重要です。

ダイレクト納付について

税理士の立場から見て、納付書に代わる方法としてまず考えたいのはダイレクト納付です。これは事前に引き落とし口座を登録しておけば、その口座から納付設定ができる仕組みです。
ダイレクト納付の大きなメリットは、納付期限を忘れずに済むことです。特に忙しい経営者にとって、毎回の納付手続きを忘れてしまうリスクを減らすことができます。また、紙の納付書を使用しないため、ペーパーレス化にも貢献します。
ただし納付書とは異なり、最終的な納付の責任が税理士にあるのか納税者にあるのかの判別がつきづらくなるので、税理士によっては嫌がる人もいます。まずはお互いにとって責任の押し付け合いとならないような方法を確認し、顧問税理士とよく話し合う必要があります。
なお、ダイレクト納付は地方税も同様の手続きが可能で、法人税に限らず住民税、固定資産税などの多くの税目に対応しています。注意点としては、ダイレクト納付を設定するための届け出が必要であり、これが受理されるまでに1~2カ月かかることがあります。

最後に

いかがだったでしょうか。納付方法も日々進化しています。これまで納税のために時間を割く必要があったものが、今では手間が少なくなりつつあります。方法が変わって納付スケジュールが以前と同じ方法では判別できなくなった面もありますが、より良いやり方を顧問税理士と相談し、自身の経営に役立てていただけましたら幸いです。

納税は経営者として避けて通れない重要な業務の一つです。これを機に、自分に最適な納付方法を見つけ、納税手続きをよりスムーズに行えるようにしていただければと思います。今後も、税務・経営に関する最新情報や有益なアドバイスをお届けしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


前の記事を読む ペーパーレス時代の納税


【2024.8月号 Vol.339 保険薬局情報ダイジェスト】