保険薬局

テキストコミュニケーションのひと工夫

コミュニケーショ ンツールを使う際の工夫や注意点
一般社団法人薬局支援協会 代表理事 薬剤師 竹中 孝行
薬局を取り巻く環境の中でも、チャットやメッセージなど様々なコミュニケーションツールが広がっており、文章でのコミュニケーションが必要なシーンが増えてい
ます。社内でのコミュニケーションに留まらず、患者さんや多職種の方々とのやり取りも増えているでしょう。とても便利な反面、気を遣いすぎて文章作成に時間がかかったり、意図せずに冷たい印象を与えてしまうこともありますよね。今回は、私が様々な場面でテキストコミュニケーションを行う際に工夫していることや注意していることを紹介します。

■テキストコミュニケーションを行う場面と重要性

社内はもちろん、患者さんやそのご家族、多職種の方々という外部とのやりとりも増えています。一つのツールに限らず、相手が利用しているツールに合わせて、様々なシステムを導入している薬局もあるでしょう。電話や対面とは異なり、相手の状況に関わらず連絡が取れるため、非常に便利です。しかし、その反面、テンポの良いやり取りが求められることもあるほか、テキストのみでは表情が見えず温度感が伝わりにくいため、配慮が必要です。また、記録として残るためには慎重な返信が求められることもあります。
メリット、デメリットはありますが、現在の薬局業務を行う上で、テキストコミュニケーションは不可欠であり、信頼を築くためには重要なスキルのひとつになっている印象があります。

■工夫していること

テキストコミュニケーションにおいて工夫していることをご紹介します。

・結論を先に、短く、簡潔に
読み手が忙しい中でも確認しやすいように、何を伝えたいかの結論を先に記載し、全文を読まなくても理解できるように配慮しています。長文は重要な情報が読み飛ばされることもあるため、箇条書きで要点をまとめるなど、できるだけ簡潔に伝えるように工夫しています。

・曖昧な表現を使わない
口頭ではニュアンスも伝えられますが、テキストでは書かれていることが全てとなります。曖昧な表現は誤解を招く可能性があるため、極力避け、明確に伝えるようにします。

・語尾や表現をやわらかく
テキストのみでは冷たい印象を与えがちです。ビジネスシーンでは絵文字を多用することができないため、語尾や表現を意識してやわらかくすると印象が和らぎます。

・やり取りの手間を少なくする
読み手が忙しいことを前提に、相手の返信の手間ややり取りの回数が減るように意識して連絡します。依頼や相談をする際には、5W1Hを意識して明確に伝えることで、不要なやり取りを減らし、コミュニケーションをスムーズにします。

・リアクションをする
メッセージに対してリアクションがないと、相手に不安感を与えることがあります。メッセージを既読した後は何かしらのリアクションをするようにしましょう。利用しているツールによってはスタンプなどもありますので、これを活用しましょう。

■注意したいこと

続いて、テキストコミュニケーションにおいて注意したい点をご紹介します。

・緊急連絡は避ける
すぐに確認や連絡が必要な場合、テキストではなく電話や対面でのコミュニケーションを行うべきです。テキストのみでは内容が難解であったり、誤解を招く可能性が高まるため、特に重要な内容は直接会話で伝えるほうが良いでしょう。

・感情的な発言は避ける
感情的になってテキストでのやりとりをすることは避けましょう。問題がない話も、一つの発言で信頼関係を損ねることがあります。感情的になった場合は、一晩待って返信することをお勧めします。また、多くの場合、チャットはオープンな空間であり、様々な人が参加しています。ネガティブな発言は他の人からの信頼も損ねるため、公開の場であることや記録が残ることを意識し、ネガティブな発言を避けるようにしましょう。

・オンオフを明確に
便利な反面、コミュニケーションツールの確認が常に必要となり、夜や休日にも通知が来ることがあるかもしれません。内容が気になって休みが取れないなど、過度のストレスにならないように、しっかりと時間を区切って業務時間外は確認しない、対応しないなど、オンとオフを明確にすることをお勧めします。

■まとめ

今回は、チャットやメッセージなどのコミュニケーションツールを使う際、私自身が工夫していることや注意している点を紹介しました。業務上、不可欠になっているにも関わらず誰かに教わる機会もない分野だと思います。紹介した内容が少しでも参考になれば幸いです。日々の業務にお役立てください。


【2024.10月号 Vol.341 保険薬局情報ダイジェスト】