保険薬局
選ぶ企業から選ばれる企業へ
アトラクトに力を入れよう
株株式会社ウィーク シニアコンサルタント 長谷川 周重先月号の結語は、「自社の魅力を伝える工夫をしよう!」であった。今月は、その魅力をどのように伝えることが効果的なのか事例を交えて紹介する。
応募者がきて内定!でも辞退……なんてことはないだろうか。来て欲しいと思っても残念ながら他社に行かれてしまうことは当然あるはずだ。ただでさえ応募が少ないにも関わらず、良いと思う人は併願をしており、採り合いになる。それを解決するために1つの事例を共有する。
地方採用においても参考になる事例だと思うので是非読んでほしい。
【事例】
(求職者)29歳 男性 中堅グループチェーンの薬局薬剤師 大阪在住
彼はコロナ禍に遠距離恋愛で付き合っていた彼女と結婚準備に入るため、大阪から東京に行くことが決まっていた。コロナ禍と大阪ということもありWEB面接で複数社を受験していた。若くてコミュニケーション力もあることから選考はスムーズに進み、最終的に2社に絞り込み、決断を迫られていた。
A薬局は、中堅の薬局グループである。面接官は、役員とマネージャーと人事の3名だった。大変礼儀正しく、わかりやすい説明で会社の成長性もある会社であった。B薬局は、個人経営で離れた場所に2店舗を経営する薬局であった。3店舗目のオープンを控え、増員のための募集であった。悩んだ結果、最終的に彼はB薬局を選択した。なぜ、彼はB薬局を選択したのか。それは、総合的な判断ではあったが、特に決め手になったのは面接方法の違いによる印象と期待値の差であった。
A薬局のWEB面接も大変良かったが、B薬局のWEB面接のほうがさらに良かったそうだ。
B薬局の面接は、なんと2店舗のスタッフ全員が面接に参加されたというのだ。
彼曰く、数が多くて最初はビックリしたが、大阪から上京するにあたり、働く人の顔と人柄が少しでもわかり、安心感が持てたこと。そして、「一緒に働きましょう!」というウェルカムな雰囲気を感じることができ、魅力的に見えたとのことである。ひいては、自分が期待されている感じも伝わってきたということである。
昨今、WEB面接が一般化してきているが、求職者のみならず面接官にとっても距離に関係なく参加することが可能になった。これは、W EB面接の特性をフルに活かした好事例である。もちろん最初から最後まで全員参加をする必要はなく、ところどころ挨拶代わりに顔を出すだけでも印象は全く違う。
最近、民間企業では一次面接ではなく、カジュアル面談を積極的に行う会社が増えている。お互いのアンマッチを軽減するためや、魅力をしっかりと伝えるためである。
そもそも限られた面接時間の中で、お互いに理解し合うことは難しい。こういった動きが特に活発なのがベンチャー企業やハイクラスなコンサルティングファームなどだ。知名度もないなか、少しでも良い若者を採用したいベンチャー企業、人がすべてのコンサルティングファームは、優秀な人材を確保するために、採用に時間を割いているのだ。
日々、時間との勝負に立たされている薬局薬剤師にとっては少し荷が重い話かもしれない。しかし、人の採用には時間と労力を是非かけてほしい。もちろん無駄に時間を割く必要はない。ある程度、書類選考の段階で目星をつけておけばよいし、人材紹介会社が面談済であれば採用すべき人なのか事前に情報提供を受けておくと良い。
転職理由で多いのが人間関係の問題というのはよく聞く。変数が多く回避することは難しいが、先ほどのような多数面接や見学、カジュアル面談という時間が、人間関係のミスマッチを軽減する役割を果たしてくれる。社長面接1回で採用したものの、現場スタッフとの相性が合わないということはよくある話だ。面接という言葉のせいなのか、雇用する企業側が強くなる傾向があるが、実際、採用したいと思う人は誰もが欲しいと思うような人だ。結果的に、求職者に選ばれている現実を理解し、意識した採用活動を進めることで今よりももっと良い採用活動になる。
トレンドワードに「アトラクト(魅力付け、口説き)」という言葉がある。求職者に対して、いかにして貴社の魅力をお伝えするのかということである。
切り口は様々考えられるが、1つの方法として、貴社のPRシートを作ってみてはいかがだろうか。他社との比較、自社の強み、こだわっていること、自慢できること、ポリシーなどを言語化、図式化してほしい。立派な会社案内や採用パンフレットは作らなくて良い。紙1枚で結構だ。そしてできれば、そこから貴社の特徴を伝えられるキャッチコピーができるとさらに良い。それが強いメッセージとなり魅力になる。「弊社は一言で言うと●●です」と言えるのだ。
例えば、「当社はアットホームな会社です!」というキャッチコピーをたびたび見かける。人間関係良好で働き易いという表現でよく使われるのだが、そのようなありきたりな表現よりも、「当社は、社長がスタッフの誕生日を祝ってくれる会社です」としてみると印象はグッと変わる。
今回は効果的な魅力の伝え方について、事例を踏まえて面接方法とPRシートの作成について述べさせて頂いた。今よりもさらに良い採用になることを願う。
【2022.10月号 Vol.317 保険薬局情報ダイジェスト】
応募者がきて内定!でも辞退……なんてことはないだろうか。来て欲しいと思っても残念ながら他社に行かれてしまうことは当然あるはずだ。ただでさえ応募が少ないにも関わらず、良いと思う人は併願をしており、採り合いになる。それを解決するために1つの事例を共有する。
地方採用においても参考になる事例だと思うので是非読んでほしい。
【事例】
(求職者)29歳 男性 中堅グループチェーンの薬局薬剤師 大阪在住
彼はコロナ禍に遠距離恋愛で付き合っていた彼女と結婚準備に入るため、大阪から東京に行くことが決まっていた。コロナ禍と大阪ということもありWEB面接で複数社を受験していた。若くてコミュニケーション力もあることから選考はスムーズに進み、最終的に2社に絞り込み、決断を迫られていた。
A薬局は、中堅の薬局グループである。面接官は、役員とマネージャーと人事の3名だった。大変礼儀正しく、わかりやすい説明で会社の成長性もある会社であった。B薬局は、個人経営で離れた場所に2店舗を経営する薬局であった。3店舗目のオープンを控え、増員のための募集であった。悩んだ結果、最終的に彼はB薬局を選択した。なぜ、彼はB薬局を選択したのか。それは、総合的な判断ではあったが、特に決め手になったのは面接方法の違いによる印象と期待値の差であった。
A薬局のWEB面接も大変良かったが、B薬局のWEB面接のほうがさらに良かったそうだ。
B薬局の面接は、なんと2店舗のスタッフ全員が面接に参加されたというのだ。
彼曰く、数が多くて最初はビックリしたが、大阪から上京するにあたり、働く人の顔と人柄が少しでもわかり、安心感が持てたこと。そして、「一緒に働きましょう!」というウェルカムな雰囲気を感じることができ、魅力的に見えたとのことである。ひいては、自分が期待されている感じも伝わってきたということである。
昨今、WEB面接が一般化してきているが、求職者のみならず面接官にとっても距離に関係なく参加することが可能になった。これは、W EB面接の特性をフルに活かした好事例である。もちろん最初から最後まで全員参加をする必要はなく、ところどころ挨拶代わりに顔を出すだけでも印象は全く違う。
最近、民間企業では一次面接ではなく、カジュアル面談を積極的に行う会社が増えている。お互いのアンマッチを軽減するためや、魅力をしっかりと伝えるためである。
そもそも限られた面接時間の中で、お互いに理解し合うことは難しい。こういった動きが特に活発なのがベンチャー企業やハイクラスなコンサルティングファームなどだ。知名度もないなか、少しでも良い若者を採用したいベンチャー企業、人がすべてのコンサルティングファームは、優秀な人材を確保するために、採用に時間を割いているのだ。
日々、時間との勝負に立たされている薬局薬剤師にとっては少し荷が重い話かもしれない。しかし、人の採用には時間と労力を是非かけてほしい。もちろん無駄に時間を割く必要はない。ある程度、書類選考の段階で目星をつけておけばよいし、人材紹介会社が面談済であれば採用すべき人なのか事前に情報提供を受けておくと良い。
転職理由で多いのが人間関係の問題というのはよく聞く。変数が多く回避することは難しいが、先ほどのような多数面接や見学、カジュアル面談という時間が、人間関係のミスマッチを軽減する役割を果たしてくれる。社長面接1回で採用したものの、現場スタッフとの相性が合わないということはよくある話だ。面接という言葉のせいなのか、雇用する企業側が強くなる傾向があるが、実際、採用したいと思う人は誰もが欲しいと思うような人だ。結果的に、求職者に選ばれている現実を理解し、意識した採用活動を進めることで今よりももっと良い採用活動になる。
トレンドワードに「アトラクト(魅力付け、口説き)」という言葉がある。求職者に対して、いかにして貴社の魅力をお伝えするのかということである。
切り口は様々考えられるが、1つの方法として、貴社のPRシートを作ってみてはいかがだろうか。他社との比較、自社の強み、こだわっていること、自慢できること、ポリシーなどを言語化、図式化してほしい。立派な会社案内や採用パンフレットは作らなくて良い。紙1枚で結構だ。そしてできれば、そこから貴社の特徴を伝えられるキャッチコピーができるとさらに良い。それが強いメッセージとなり魅力になる。「弊社は一言で言うと●●です」と言えるのだ。
例えば、「当社はアットホームな会社です!」というキャッチコピーをたびたび見かける。人間関係良好で働き易いという表現でよく使われるのだが、そのようなありきたりな表現よりも、「当社は、社長がスタッフの誕生日を祝ってくれる会社です」としてみると印象はグッと変わる。
今回は効果的な魅力の伝え方について、事例を踏まえて面接方法とPRシートの作成について述べさせて頂いた。今よりもさらに良い採用になることを願う。
【2022.10月号 Vol.317 保険薬局情報ダイジェスト】
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