介護

【続き】老健におけるリハビリ・口腔・栄養の介入が稼働率に影響する

ADLの改善だけではなく、口腔、栄養のプロセスも確認
株式会社メディックプランニング  代表取締役 三好 貴之

▼医療機関退院後は要注意

令和5年3月15日の中医協での「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第1回)」の資料(以下、同資料)によれば、医療施設から介護施設(老健、特養)に再入所した利用者のうち高度な栄養管理が必要となった者が1名以上いる施設が、77.2%もあることが分かりました(図1)

介護施設から医療施設へ誤嚥性肺炎で入院することは多くあります。そして、医療施設の急性期では、このような患者にまず禁食するケースが多くあります。同資料では、さらに「誤嚥性肺炎患者で、摂食嚥下機能評価等を行わず禁食としていた群は、早期経口摂取群と比較すると、入院中の摂食嚥下機能の低下、在院日数の延長、死亡率の増加がみられた」として、禁食期間が延びれば延びるほど嚥下機能が低下していくことが示されました。さらに「経口摂取ができていて、誤嚥性肺炎による入院後に禁食管理となった高齢患者の4割以上 が、30日以内に3食経口摂取を再開できていない」として、禁食による誤嚥性肺炎の再発防止の裏で、このように嚥下障害が進んでいくリスクが明らかになっています。


図1:令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第1回)資料

▼ ADLの改善だけではなく、口腔、栄養のプロセスも確認

よって、老健から医療機関へ利用者が入院し、再入所してくる場合には、治療の経緯やADLの変化だけではなく、医療機関での禁食の有無や禁食の期間、また、口腔、栄養改善の介入があったかどうかを確認する必要があります。そして、先ほどの入所時合同評価のように入所早期に口腔や栄養状態の確認を行うことで、老健での誤嚥性肺炎の再発を防ぐための介入を早期に開始することができます。

▼入院を減らして稼働率を維持する

このように誤嚥性肺炎発症による医療機関への入院を減らすことができれば、利用者にとってもメリットがありますが、老健にとっても入院による退所者を減らすことができ、稼働率の維持、向上につながるメリットがあります。リハビリ、栄養、口腔の介入はまさに褥瘡や排せつと同じく「チームケア」です。チームが連携しながらいかに誤嚥性肺炎を予防できるかが、ケアの質だけではなく、老健の経営上、非常に重要になってくると思います。


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【2024. 6. 15 Vol.594 医業情報ダイジェスト】