組織・人材育成

話し合いは聞き合い~「聞く」は本当に難しい

「理解し合うための工夫」が必要
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子
2024年度診療報酬改定の施行を目前に、業務フローの見直しなど多職種横断的に話し合いがなされているものと思います。医療の世界は多様なプロである資格保有者の集まりであるため、その立場を重視して主張し過ぎてしまうことで、話し合いが上手くいかないことも少なくありませんね。

今回はそんな様々な立場の人が話をする際に気を付けたい「聞く」ことについて考えるケースを紹介したいと思います。
今回もめまぐるしく変化する医療業界で努力される皆さまを紹介することで、少しでも皆さまの組織のお役に立てることが出来たら幸いです。

ケース:

「新年度からちゃんと目標管理を行うぞ!」と新たな取り組みを行うことを決めた院長先生とスタッフのお話です。このクリニックでは年度のはじめに「今年度の目標」を職種ごとに立て、年度末に評価を行ってきましたが、院長先生は目標設定を見直したいと考えていました。

院長先生「当クリニックのスタッフはとても真面目で、一生懸命に頑張ってくれていることは分かっています。今まで行ってきた目標管理についても、それぞれ意欲的な目標を立ててくれます。ただ、目標とする項目が多くて、全く目標が達成できていないのです。目標設定をする時は『今年こそ絶対達成させます!』と前向きな発言をするので応援するのですが、年末に『忙しくて取り組めませんでした』『次年度も引き続き行いたいと思います』という言葉で締めくくることの繰り返しです。これじゃ目標管理の意味がない」

院長先生は問題意識を強く持っていたため、今年度は各職種の管理職が集まる会議で目標管理について取り扱い、「毎年目標設定する項目が多くて達成されていないのではないか」「今年は設定する目標を絞るから、それに則って目標設定してほしい」と伝えるとともに、「どうしたら達成できる目標になるのか」「具体的な目標設定とは」ということを話し合う場を設けました。

院長先生としては「これだけ話し合ったのだから、さぞ素晴らしい目標設定が行えるだろう」と思っていたところ……新年度の目標として提出された内容を見て唖然。これまでと全く変わっていなかったのです。

院長先生「あんなに会議の中で話し合ったのに、分かり合ったと思っていたのに何が足りなかったのだろう……」


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【2024. 5. 15 Vol.592 医業情報ダイジェスト】