組織・人材育成
職員を育成する責任
ラダーの必要性
株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功
某専門学校の評価委員を任され、先日も、その委員会に出席しました。この委員会は、学校の運営が適切に行われているか、外部の評価委員に報告を行い、意見等を聴取するものです。専門学校の第三者評価の基準に基づき、活動の自己評価が行われ、膨大な報告書の内、大項目に絞って報告がされます。
このような取り組みは、病院でも行われるとよいと考えます。例えば、病院機能評価の評価項目から、第1領域(患者中心の医療の推進)、第2領域(良質な医療の実践1)等について自己評価を行い、その自己評価報告書を、外部の委員(例えば、地域住民や行政機関、医療の専門家などから選任)に定期的に報告および意見等を聴取するという活動は、医療の質向上につながると考えます。また、地域の住民や警察、消防への広報にもなるでしょう。
話は元に戻りますが、某専門学校では就職率も上昇し100%でした。医療事務関連の資格取得率も申し分なく、活動と成果の報告をお聞きし、専門学校の役割は十分果たしているとの評価をしました。
職業人を養成し社会に送り出すという役割は果たしていると言えます。なお、今後の期待として、卒業後の状況を把握することと、病院の幹部を多く輩出して欲しいと伝えました。しかし、本来、就職した後のことは、受け入れ先の病院と本人の責任ではないかと考えます。先日訪問した病院の理事長は、最近は、挨拶もできない若者が多いので、集合研修で挨拶から教え込むと話していましたが、このような病院に就職できた若者は、運が良かったものと思います。そこで、今回は、新卒の職員の育成について考えます。
このような取り組みは、病院でも行われるとよいと考えます。例えば、病院機能評価の評価項目から、第1領域(患者中心の医療の推進)、第2領域(良質な医療の実践1)等について自己評価を行い、その自己評価報告書を、外部の委員(例えば、地域住民や行政機関、医療の専門家などから選任)に定期的に報告および意見等を聴取するという活動は、医療の質向上につながると考えます。また、地域の住民や警察、消防への広報にもなるでしょう。
話は元に戻りますが、某専門学校では就職率も上昇し100%でした。医療事務関連の資格取得率も申し分なく、活動と成果の報告をお聞きし、専門学校の役割は十分果たしているとの評価をしました。
職業人を養成し社会に送り出すという役割は果たしていると言えます。なお、今後の期待として、卒業後の状況を把握することと、病院の幹部を多く輩出して欲しいと伝えました。しかし、本来、就職した後のことは、受け入れ先の病院と本人の責任ではないかと考えます。先日訪問した病院の理事長は、最近は、挨拶もできない若者が多いので、集合研修で挨拶から教え込むと話していましたが、このような病院に就職できた若者は、運が良かったものと思います。そこで、今回は、新卒の職員の育成について考えます。
ラダーの必要性
最近は、日本看護協会などの職能団体が、専門職の実践能力を育成するために、クリニカルラダーを示すようになりました。この動きは、薬剤師や理学療法士、放射線技師など医療専門職全般に広がりつつあると感じます。医療専門職の能力の育成段階を、各職能団体が示すことで、医療界全体の基準になりつつあります。ちなみに、病院独自の基準はインターナルな基準と言い、職能団体が示した能力基準をエクスターナルな基準と言います。
ラダーは、はしごを意味し、クリニカルラダーは、クリニカル(臨床)の実践能力を段階的に表し、その能力が身につくよう、人材を評価し育成していく仕組みです。なお、キャリア開発ラダーは、臨床の能力だけでなく、組織人・社会人として必要な能力や態度等を含めて、人材を育成していく仕組みと考えます。
学校を卒業し就職してきた職員を、皆同じように育成していく仕組みとして、これらラダーを整備することは大事なことです。また、職能団体が示したラダーがあれば、できるだけその基準に沿って整備することが必要でしょう。多くの病院で同じ育成基準を持てば、転職をした際にも、引き続き同じ基準で育成ができるからです。
ラダーは、人事評価とは異なり、評価要素も数多く示され、すべての評価要素で標準レベル以上になることを目指します。すなわち、その段階で求められる能力が身につけば、はしごを登って上のラダーに上がるという仕組みです。ラダーを見れば、自分がどのような能力を身につけなければならないか、現在、その能力が備わっているかなどは、本人がある程度分かるものと思います。
しかし、自分の強みや弱みを実際に認識するためには、評価要素を眺めて何となく「できる、できない」と考えるだけではなく、結果から捉えることが効果的です。例えば、仕事が遅いという結果から、実践能力のどの部分が原因なのかを探る、あるいは、目標を立てたことが達成できなかったとすれば、能力のどこに原因があったのかといった捉え方をしたほうが改善点に気づくのではないでしょうか。
したがって、ラダーを導入する場合でも、目標管理や自己の業務の結果を評価することを併せて行うとよいと考えます。
ラダーは、はしごを意味し、クリニカルラダーは、クリニカル(臨床)の実践能力を段階的に表し、その能力が身につくよう、人材を評価し育成していく仕組みです。なお、キャリア開発ラダーは、臨床の能力だけでなく、組織人・社会人として必要な能力や態度等を含めて、人材を育成していく仕組みと考えます。
学校を卒業し就職してきた職員を、皆同じように育成していく仕組みとして、これらラダーを整備することは大事なことです。また、職能団体が示したラダーがあれば、できるだけその基準に沿って整備することが必要でしょう。多くの病院で同じ育成基準を持てば、転職をした際にも、引き続き同じ基準で育成ができるからです。
ラダーは、人事評価とは異なり、評価要素も数多く示され、すべての評価要素で標準レベル以上になることを目指します。すなわち、その段階で求められる能力が身につけば、はしごを登って上のラダーに上がるという仕組みです。ラダーを見れば、自分がどのような能力を身につけなければならないか、現在、その能力が備わっているかなどは、本人がある程度分かるものと思います。
しかし、自分の強みや弱みを実際に認識するためには、評価要素を眺めて何となく「できる、できない」と考えるだけではなく、結果から捉えることが効果的です。例えば、仕事が遅いという結果から、実践能力のどの部分が原因なのかを探る、あるいは、目標を立てたことが達成できなかったとすれば、能力のどこに原因があったのかといった捉え方をしたほうが改善点に気づくのではないでしょうか。
したがって、ラダーを導入する場合でも、目標管理や自己の業務の結果を評価することを併せて行うとよいと考えます。
クリニカルラダーからキャリア開発ラダーへ
質の高い医療を提供するためには、職員1人ひとりが実践能力を高めることが重要と考えますが、先述の理事長先生の話のように、組織は、さらに組織人、社会人としての行動を求めます。そこで、ラダーの評価として、「組織的役割遂行能力」や「人間的社会的能力」といった内容を加えることも必要でしょう。
これらは、職種共通で十分であり、自院の職員に求める基本的能力として、どのようなものがあるかを検討します。例えば、組織的役割遂行能力として、「業務管理」「安全管理」「接遇」「物品・コスト管理」「時間管理」「情報管理」という評価要素が考えられます。また、人間的社会的能力としては、「規律性」「責任性」「協調性」「積極性」で、能力を捉えるとよいと考えます。例えば、ラダーⅠのレベルであれば、規律性という面では「挨拶・言葉遣い・態度が適切にできる」「報告・連絡・相談ができる」「病院の規則を守ることができる」といった評価要素とするなど、1つの項目で2~3程度の重要な要素を挙げておくとよいでしょう。新卒職員を育成する責任を果たす上で、キャリア開発ラダーは重要なツールと考えます。
【2022. 8. 15 Vol.550 医業情報ダイジェスト】
これらは、職種共通で十分であり、自院の職員に求める基本的能力として、どのようなものがあるかを検討します。例えば、組織的役割遂行能力として、「業務管理」「安全管理」「接遇」「物品・コスト管理」「時間管理」「情報管理」という評価要素が考えられます。また、人間的社会的能力としては、「規律性」「責任性」「協調性」「積極性」で、能力を捉えるとよいと考えます。例えば、ラダーⅠのレベルであれば、規律性という面では「挨拶・言葉遣い・態度が適切にできる」「報告・連絡・相談ができる」「病院の規則を守ることができる」といった評価要素とするなど、1つの項目で2~3程度の重要な要素を挙げておくとよいでしょう。新卒職員を育成する責任を果たす上で、キャリア開発ラダーは重要なツールと考えます。
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