保険薬局

採用面接のポイント ~心理的安全性を高めてラポールを形成しよう~

面接時の対応について
株株式会社ウィーク  シニアコンサルタント 長谷川 周重
前回は“おもてなし”の対応で良い噂づくりをということで、下記の「面接の流れ」のうち、面接外の対応1、2、9に触れました。今回は3と4の面接時の対応についてお話しします。

面接時は、基本3~8の流れに沿って行うと良いでしょう。複数店舗ある企業は面接官がばらばらになる時がありますので、一連の流れを型として標準化しておくと良いです。面接は人によって様々で、各々の担当者にお任せしていることが多いです。従って面接が得意、不得意な担当者がいらっしゃいます。そもそも面接のやり方を社会人になってレクチャーされることがないため、先輩の見よう見まねや、我流でされていることがほとんどです。
改めて、適切な人材を採用するために面接の基本を押さえる必要があります。

面接の流れ(リアル面接の場合)
  1. 受付
  2. ご案内
  3. 自己紹介 アイスブレイク
  4. 企業説明
  5. 求職者への質問
  6. 求職者からの質問
  7. 事務連絡
  8. 終了のご案内
  9. お見送り

3.自己紹介・アイスブレイク

面接の始まりはお互いの挨拶から。まず、面接官の自己紹介を行いましょう。役職(立場)と自分の名前をきちんとお伝えしてください。リアルであれば名刺での挨拶、WEBであれば、名前がきちんと表示されるようにしてください。
そして、最初は雑談で結構ですから軽いアイスブレイクからスタートをしましょう。求職者の緊張をほぐし、お互いに話しやすい雰囲気を作り出すことが大切です。何を切り出したら良いのかわからないためか、いきなり求職者への質問を始める方がいらっしゃいます。アイスブレイクの一般的な話題としては、履歴書・職務経歴書に記載している内容から自分自身との共通点を見つけ出すと良いでしょう。居住地や出身大学、趣味、経験など様々あります。事前にレジュメに目を通して、1つ2つの話題を用意しておくことが大切です。共通点が見当たらない場合は、レジュメをみて相手を褒められるポイントや、興味、関心を持ったところをお伝えできると良いでしょう。

その後、これも大事なのですが面接の流れを簡単に説明することをお勧めします。予め、面接の大まかな流れや、所要時間をお伝えしましょう。終わりの見えない長いスピーチと同じで、面接も流れのわからない、終わりの見えない面接は、ただ苦痛でしかありません。冒頭にお伝えすることで心理的安全性を高め、安心感を与える空気を作ることが大事です。これがラポール形成の一歩となります。
アイスブレイクは、求職者が行うことではなく企業側が配慮し行うマナーです。

それから、相手の目を見て話すようにしてください(求職者にも言えるのですが)。リアル面接の場合は当たり前のことですので、あまり気にはなりませんでしたが、W EB面接でも画面越しに目を見て話すことをお勧めします。これは実例なのですが、面接官が忙しいという理由から、仕事をしながら面接をする会社がありました。出入りの激しい面接で、さらにカメラとモニターの位置が違い、面接官が横向きで目線を合わせないままWEB面接を行っていたのです。社内の打ち合わせならまだしも、初対面による面接ですから、きちんと相対する姿勢を見せていただきたいと思います。

4.企業説明

企業説明はどのようにされていらっしゃいますか。この説明もとても大事です。ちょっとしたことですが他社との差別化ができるポイントです。
一般的に、「うちの会社はですね~」と口頭で済ませているところが多いと思います。特に社長薬剤師の一回面接であると、どうせ自分しかいないんだから口頭でいいと思われかもしれません。しかし、手作りで構いませんので、ペーパーやスライド、パンフレットなどを使用してプレゼンをしていただけると良いでしょう。できれば、相手にお渡しできるものであると親切であり、記憶に残りやすくなります。
正直、クオリティは問いません。創作したものが、気持ちとして相手に伝わります。比較的、新卒採用にはこうした案内物を用意されているのですが、中途採用となると準備していないケースが見受けられます。是非、中途採用者向けの資料のご準備をお願いします。

もう一つ、案内物を用意することのメリットがあります。それは、標準化です。
 同じ面接官でも、常に同じことを言い続けることは難しく、また、異なる面接官が対応した場合は、人それぞれが思うところの企業PRになってしまい、本来お伝えしたいことが漏れることがあります。ちょっとした一手間をかけて準備をすることで、常に安定した説明と面接を行えるようになります。

以上、ここまでの流れは、時間にして10分程度を目安にしていただけると良いでしょう。アイスブレイクからのスタートは、面接の印象を左右します。逆にアイスブレイクができないと緊張感に包まれ、本音が聞けなかったりします。また、求職者側のコミュニケーション力を推し量れるメリットもありますので、是非面接の最初に取り入れていただきたいと思います。次回は5~8、特に「求職者への質問」と「求職者からの質問」についてお話しします。


【2023.1月号 Vol.320 保険薬局情報ダイジェスト】