保険薬局

採用はメディアミックスで攻略する

人材紹介会社が教える採用のコツ
株式会社ウィーク  シニアコンサルタント 長谷川 周重
薬剤師の中途採用を人材紹介会社頼みにするところが多いですが、採用はメディアミックスが効果的です。転職を検討している薬剤師が、特定の媒体にしか登録していない、もしくは特定の媒体からしか情報収集していないということはありません。そのため、幅広く情報発信することで、これまで情報が届かなかった方へ求人情報を届けることができます。今月は、紹介会社の他に、主に求人広告、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用にスポットをあてて説明します。

●求人広告

求人媒体に広告を掲載することです。求人広告は、大きく分けて料金の有無と紙・WEB・看板などの媒体の組み合わせになります。地場で有力な求人媒体がそれぞれあると思いますが、紙媒体にしてもWEBにしても、まずは無料で発信できるところから始めると良いでしょう。
以下、お勧めを3つ紹介します。

1.費用対効果抜群 店舗内外への求人ポスター
私がまずお勧めするのは、店舗内外への求人ポスターです。複数店舗を展開していて、店舗間の距離が遠くないようであれば、協力して掲示することをお勧めします。これが地元採用では意外と効果的で、即効性もあります。その場所で、今、人を募集していますという発信は、求職者の目にピンポイントで飛び込みやすく、反響を得やすいのです。また、コツとして店舗を閉めた後でも外に掲示ができているとなお良いです。店内のみ、店舗ウィンドウのみであると、例えばシャッターを閉めてしまうと見えなくなってしまい機会損失になります。できる限り見やすいように掲示し、閉局後でも立ち止まって見てくれるようにしましょう。また、簡単な店舗紹介チラシを店先に置いてその中に求人案内を入れても良いでしょう。前号で採用広告について触れたばかりですので、早速作って店舗に掲示していただけると有難いです。ポスターに細かな諸条件を書く必要は全くありません。

2.地方は強い ハローワーク
WEB広告は何と言ってもハローワークの活用をお勧めします。ハローワークは特に医療・介護に強く、さらに地方は求職者の利用媒体として強い傾向にあります。医療・介護系が強くなる理由は、その街の病院や診療所などが一つの大きな雇用を生む産業として成り立っていることに他なりません。また、医療機関は経営上、多額の採用広告費をかけられない現状もあり、ハローワークを活用しているケースが多いのです。求職者側もそれを理解しているため、今でも人気の媒体の一つになっています。さらに、ハローワークは民間企業とも連携しておりWEB上で幅広く広告されることが可能になっています。ただし、それでも薬剤師の採用は難易度が高いため、応募が来たらラッキー程度で始めると良いでしょう。

3.余力があればアグリゲーション型求人サイト
 無料求人の世界をがらりと変えてしまったインディードを始めとするアグリゲーション型の求人サイトです。他にも同様のサービスがありますが、知名度、利用者数が圧倒的に多いのがインディードです。余力があれば取り組んでいただければと思いますが、昨今は認知度が上がり、有料課金企業も増えたため、無料とはいえ応募が来るまでに時間がかかるようになりました。また、無料の場合、定期的な更新が必要なため、作って終わりではなく、マメな更新も必要不可欠です。

●ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、自社にマッチする人材を企業側が自ら探し、直接アプローチする採用手法のことです。近年守りの採用から攻めの採用へということで注目を集めている手法ですが、自ら探して、スカウトメールを送り、求職者の問い合わせ対応を行っていきます。工数負担がかかるため、ある程度余力がないと難しいでしょう。ただし、人材紹介会社よりは費用負担が少なく済むので、自ら人探しから行いたい方には、お勧めです。
昨今、医療特化型の求人サイトでは、ジョブメドレー、グッピーといったサイトが人気を集めており、求職者の認知度も高まっているため、暫くは利用者が広がっていくのではないかと思います。

●リファラル採用

最後にリファラル採用、つまり社員紹介です。なんといってもこれが一番安心でコスパの良い採用になることが多いので、社員全体で知人、友人経由で採用を強化したいところです。しかし、これも既存社員との信頼構築における賜物で、働いている社員に自分の会社、店舗が良いと思っていただけないと実現することは難しいものです。そのため、日々社員とのコミュニケーションが重要で、モチベーションを維持、もしくは高まっているのかの確認を取っておくことが大切です。もし、会社に採用の余裕がある場合は、リファラルの紹介が発生した場合に随時採用を受け付ける体制づくりも必要です。どうしても採用はタイミング次第になりがちで、そのタイミングを逃す機会損失が発生します。今すぐに採用できないという時であっても、待ってもらうことが可能なのか、最大限の交渉を行う必要があります。そのため、いざという時に備えて事前にルール化しておくと良いでしょう。また、一番困るのは折角紹介してくれたのに見送りにしなければならないケースです。この場合も想定して、予め社員へリファラル採用の条件を周知徹底することがうまくいくコツです。一方でデメリットとして、同世代、同質な人柄が集まりやすい傾向にあり、組織としての偏りが出てしまう懸念があります。

何事もバランスが必要ですが、メディアミックスを行うことで幅広い求職者と接点を持ち、情報を収集することができます。転職希望者から入ってくる情報は、生きた情報のため採用活動の参考になることが多いです。情報収集もしながら面接することが採用強化につながります。


【2023.5月号 Vol.324 保険薬局情報ダイジェスト】