保険薬局
年収ダウンのキャリアチェンジ転職者に学ぶ(その1)
大きなギャップ創りがカギ
株式会社ウィーク シニアコンサルタント 長谷川 周重ドラッグストアの併設調剤薬局で働く30歳の薬剤師の転職支援を行った。前職の年収が600万円位であったが、年収450万円の転職となった。年収ダウンの転職はリスクを伴うが、実現した理由はキャリアチェンジによる企業転職のケースだったからだ。今号は、なぜそのよ
うな年収ダウンの転職が実現するのか、要因を共有し採用のヒントとなればと思う。
転職で一番大事なポイントは、転職理由である。そもそも転職とは、現実と理想のギャップを改善し、理想を得ることである。従って、現職で実現できないことを転職によって実現させることが目的となる。キャリアチェンジを希望する求職者の場合、大きく分けて2つの理由がある。「1.現職(薬剤師)への不満と不安」と「2.オフィスワーク(企業勤め)への憧れ」である。2は1を改善するための延長線でもあるが、ここに期待感を抱いている求職者は多い。
うな年収ダウンの転職が実現するのか、要因を共有し採用のヒントとなればと思う。
転職で一番大事なポイントは、転職理由である。そもそも転職とは、現実と理想のギャップを改善し、理想を得ることである。従って、現職で実現できないことを転職によって実現させることが目的となる。キャリアチェンジを希望する求職者の場合、大きく分けて2つの理由がある。「1.現職(薬剤師)への不満と不安」と「2.オフィスワーク(企業勤め)への憧れ」である。2は1を改善するための延長線でもあるが、ここに期待感を抱いている求職者は多い。
1.現職(薬剤師)への不満・不安
1の理由が強いほどキャリアチェンジを希望する方が多いのだが、一体に何に不満と不安を感じているのか?
薬剤師の仕事柄、仕方がないものの、最も多い理由が「自由が少ない」「ルーティンワーク」「マニュアルが多い」という調剤業務に関することだ。次に多いのが、「シフト制」「希望休みがとれない」「労働時間が長い」という働き方に関することである。
調剤業務への不満と不安
調剤業務への不満・不安は意外と多い。調剤業務への不満と聞いて「何をいまさら」と思うことだろう。しかし一定割合の薬剤師は、働くなかでこの不満を持ってしまう。その原因を探るために薬学部を志望した理由を聞くと、その時点では薬剤師という職業に対する強い拘りがなかったということが多い。例えば、親に言われたから、理系だったから、医師を目指していたけど学力が足りなかったから等である。つまり、キャリアチェンジを希望する薬剤師の傾向として、そもそも薬剤師の仕事に強い執着心がないのだ。大学卒業時の就職活動も「薬剤師免許を取得できたから」という流れの中で行っており、その結果、モチベーションを維持できず、数年後にキャリアの葛藤の壁にあたってしまう。毎日同じような作業が店舗で行われ、ふとした時に自分がいなくても他の誰かでも良いのではないか、将来のことを考えるとロボットでも良いのではないかと思い込んでしまう。
話を元に戻そう。こうした思考の転職希望者のケースから学ぶべきことは、薬剤師業務から離れるという、理想と現実の大きなギャップが強い動機となっていることである。ギャップが大きいほど、転職希望者の意識は高くなり、努力してでも実現させたい、リスクをとってでも転職したいという行動に移るのである。
通常、薬局から薬局への転職は企業間、薬局間の違いが見えづらく、単純な条件交渉に陥りがちである。そのような採用活動から逃れるためには、他社・他店にはないこと、勝っているとPRできることを打ち出し、自らギャップを創り出す必要がある。これが、採用を成功させるヒントになる。キャリアチェンジのような大きなギャップは創れないにしても、あえてその差を創りだすことで、いわゆるオンリーワン採用が実現できる。
上記のような転職理由は書類選考時、面接時に出てくることはほぼない。しかし、薬剤師の転職の根本的な理由としてこのような不満・不安が存在している。
仮にルーティン化、画一的な業務に不満があり、息苦しさを感じているとしたら、「業務だから当り前」と蓋をするのではなく、少しでも軽減、改善するようなキャリアパスをPRしてみるのはいかがだろうか。例えば小規模な薬局であれば、バックオフィス業務は社長がすべて行っていることが多いが、その業務の一部を任せてみるという方策もある。複数店舗の薬局であればジョブチェンジ、店舗異動や積極的な社外活動・研修など、個人のキャリアに寄り添った育成計画を取り入れていることを掲げるのも1つではないだろうか。
薬剤師の仕事柄、仕方がないものの、最も多い理由が「自由が少ない」「ルーティンワーク」「マニュアルが多い」という調剤業務に関することだ。次に多いのが、「シフト制」「希望休みがとれない」「労働時間が長い」という働き方に関することである。
調剤業務への不満と不安
調剤業務への不満・不安は意外と多い。調剤業務への不満と聞いて「何をいまさら」と思うことだろう。しかし一定割合の薬剤師は、働くなかでこの不満を持ってしまう。その原因を探るために薬学部を志望した理由を聞くと、その時点では薬剤師という職業に対する強い拘りがなかったということが多い。例えば、親に言われたから、理系だったから、医師を目指していたけど学力が足りなかったから等である。つまり、キャリアチェンジを希望する薬剤師の傾向として、そもそも薬剤師の仕事に強い執着心がないのだ。大学卒業時の就職活動も「薬剤師免許を取得できたから」という流れの中で行っており、その結果、モチベーションを維持できず、数年後にキャリアの葛藤の壁にあたってしまう。毎日同じような作業が店舗で行われ、ふとした時に自分がいなくても他の誰かでも良いのではないか、将来のことを考えるとロボットでも良いのではないかと思い込んでしまう。
話を元に戻そう。こうした思考の転職希望者のケースから学ぶべきことは、薬剤師業務から離れるという、理想と現実の大きなギャップが強い動機となっていることである。ギャップが大きいほど、転職希望者の意識は高くなり、努力してでも実現させたい、リスクをとってでも転職したいという行動に移るのである。
通常、薬局から薬局への転職は企業間、薬局間の違いが見えづらく、単純な条件交渉に陥りがちである。そのような採用活動から逃れるためには、他社・他店にはないこと、勝っているとPRできることを打ち出し、自らギャップを創り出す必要がある。これが、採用を成功させるヒントになる。キャリアチェンジのような大きなギャップは創れないにしても、あえてその差を創りだすことで、いわゆるオンリーワン採用が実現できる。
上記のような転職理由は書類選考時、面接時に出てくることはほぼない。しかし、薬剤師の転職の根本的な理由としてこのような不満・不安が存在している。
仮にルーティン化、画一的な業務に不満があり、息苦しさを感じているとしたら、「業務だから当り前」と蓋をするのではなく、少しでも軽減、改善するようなキャリアパスをPRしてみるのはいかがだろうか。例えば小規模な薬局であれば、バックオフィス業務は社長がすべて行っていることが多いが、その業務の一部を任せてみるという方策もある。複数店舗の薬局であればジョブチェンジ、店舗異動や積極的な社外活動・研修など、個人のキャリアに寄り添った育成計画を取り入れていることを掲げるのも1つではないだろうか。
●まとめ
業界として対物から対人へと推進はされているものの、まだまだ対物業務中心となっているところが多い。調剤業務への不満・不安をもつ薬剤師への対応として、対人業務に関する取り組みの発信や、個人の育成にフォーカスした求人票や求人広告は効果が期待できる。取り組んでいる薬局はまだ少ないため、他社と大きく差別化できるチャンスポイントになる。
次号では、働き方に関すること、オフィスワーク(企業勤め)という憧れをテーマに解説する。
【2024.2月号 Vol.333 保険薬局情報ダイジェスト】
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