組織・人材育成
薬剤師採用の戦国時代
年収競争に陥らない採用戦略のポイント
株式会社ウィーク シニアコンサルタント 長谷川 周重
2024年、物価上昇などに伴い大手調剤薬局、ドラッグストアでは相次いで賃上げが発表された。ただでさえ、ドラッグストアとの賃金格差が開いているにもかかわらず、さらなる拡大が予想される。
一般的に新卒採用ができれば人件費を抑えられる。新卒は定着率も良いため、中途採用よりも力を入れたいところではある。しかしベースアップによって、採用競争は一段と激しくなりそうな様相になってきている。
一般的に新卒採用ができれば人件費を抑えられる。新卒は定着率も良いため、中途採用よりも力を入れたいところではある。しかしベースアップによって、採用競争は一段と激しくなりそうな様相になってきている。
●薬局薬剤師が勤務先を決めた理由の上位3つ
年収だけで決めてほしくない。そう願いたいところではあるが、残念ながら薬局薬剤師が就職先を決めた理由の1番は給与水準だ。次に勤務予定地、3番目に業務内容・やりがいと続く。差別化の難しい仕事だからこそ、給与水準と勤務予定地が1位、2位となってしまうのは仕方のない現実である。
一方で、病院薬剤師は薬局薬剤師の真逆の順位となり、業務の内容・やりがいが極めて高く、就職先を決めた理由の1位だ(図参照)。

一方で、病院薬剤師は薬局薬剤師の真逆の順位となり、業務の内容・やりがいが極めて高く、就職先を決めた理由の1位だ(図参照)。

●年収競走に陥らないためのポイント
給与水準が高いに越したことはないが、採用戦略で重要なのはそれ以外で勝負をすることだ。強化すべきポイントは次の3つ。図の★印を参照してほしい。
- 業務の内容・やりがい
- 職場の人間関係
- 勤務時間の柔軟さ
1.業務の内容・やりがい
業務の内容・やりがいは、フォーマット化された業界においては差別化しづらいためアピールが難しいかもしれないが、それでも「我が会社はここに拘っている」「ここに力を入れている」という点を掲げることが大切だ。
2.職場の人間関係
私が見る限り、求人票や求人広告、面接において職場の人間関係に関するPRは驚くほど少ない。職場に合う、合わないというのは、採用後の求職者次第といった昔ながらの受け入れ方に問題がある。結果的に職場の人間関係を理由に辞めるとき、求職者が採用前に知りえなかった点によって生じたギャップが原因となることが多い。
3.勤務時間の長さ・柔軟さ
最後に、近年注目されている働き方改革に即した働きやすさを際立させることだ。就業規則による定めがあったとしても、それを変えてでも今できる働きやすい職場環境の構築を試みようとする姿勢が大事である。患者、お客様あっての薬局なのか、働く薬剤師あっての薬局なのか、議論になりがちかと思うが、既存スタッフを含めた形で新しい働き方を議論・提供ができれば、新時代の薬局経営に直結するのではないかと思う。
●すぐにできることは、職場環境のPR
3つの中で真っ先に取り組んでほしい点は、職場の人間関係のPRだ。これはやるかやらないかに尽きる。職場の人間関係のPRには、既存スタッフの公開と社内オペレーションの共有の主に2つがある。
1.既存スタッフの公開
役員、人事・管理部門のみならず、できる限り店長・管理薬剤師、先輩社員を面接に参加させることである。参加できない場合は、簡単な自己紹介シートを準備しても良いだろう。そもそも採用は企業側に優位性があり、求職者の情報だけが一方的にわかっている状態はフェアではない。そのため多くの場合、入社後にアンマッチの原因を生み出す要因になってしまう。
2.社内オペレーションの共有
中途採用の場合、様々な経験者が集まってくる。自身の店舗がスタンダードであるという思い込みは避けた方が良い。求職者には、事前に確認してもらうことが好ましい。事前の確認は見学時に行われることではあるが、見学がないことも想定して面接のプログラムを準備しておくことが重要である。さらに余裕があれば1日の流れも伝えると入社後のイメージを共有でき、なお良い。
●まとめ
求職者は、最終決断する理由を「総合的に判断する」と言う。総合的とはいったい何なのか。それは、個々によって違う。そこで、総合的な判断の要素を予め情報収集しておくことで的確な採用活動が可能となる。聞き取るタイミングとして、面接前か面接の最初に、今回の転職における優先順位のポイントを3つ聞いてみることをお勧めする。きっとその後の面接が有意義な時間となるはずだ。
【2024.5月号 Vol.336 保険薬局情報ダイジェスト】
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