組織・人材育成
人事評価と学会発表等の加点
目標管理制度を上手く活用する
病院人事コンサル 株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功先日、支援している病院の人事課長から質問を受けました。職員から、学会発表に関してもっと評価してもらいたいとの意見が多く出ているので、人事評価の加点として考えたいが、何か問題があるだろうかというものでした。学会発表の演者や共同研究者等で区分して基準を決め、人事評価の結果に5点とか10点とか加点してあげたいというのです。
筆者は、職員から言われたから加点として設定するのではなく、病院が職員に多くの学会発表を望み、病院として考えて加点とするのであればよいのではないかと伝えしました。そして、想定される問題点も加えて返答しました。そこで、今回は、人事評価の加点について考えます。
筆者は、職員から言われたから加点として設定するのではなく、病院が職員に多くの学会発表を望み、病院として考えて加点とするのであればよいのではないかと伝えしました。そして、想定される問題点も加えて返答しました。そこで、今回は、人事評価の加点について考えます。
学会発表等加点での問題点
ご質問をいただいた病院の人事評価制度では、もともと学会発表を評価できる評価要素が行動評価の中にありました。したがって、この評価要素での評価だけでは職員が納得しないので加点にしたいということでしょう。また、病院の目標管理シートを見させていただくと、学会発表の目標も散見されますので、行動評価に加えて目標達成度評価でも高い評価となり、さらに加点がされることになります。学会発表という取り組みが人事評価に占める割合が大き過ぎないかということが問題点として挙げられることをお伝えしました。
学会に出る余裕もなく、日常の業務の遂行に邁進している職員も大勢いるわけですから、それらの職員と、1回や2回学会発表した職員との評価のバランスはどうかを考えなければなりません。病院が加点項目を決めることを推奨した時期もありましたが、特定の項目を加点にするわけですから、加点にならない部分で頑張っている職員から不満が出ないかということを危惧すると、項目設定が非常に難しいと言えます。そこで最近は、加点をあまり推奨せず、目標管理制度を上手く活用してはどうかと考えています。
学会に出る余裕もなく、日常の業務の遂行に邁進している職員も大勢いるわけですから、それらの職員と、1回や2回学会発表した職員との評価のバランスはどうかを考えなければなりません。病院が加点項目を決めることを推奨した時期もありましたが、特定の項目を加点にするわけですから、加点にならない部分で頑張っている職員から不満が出ないかということを危惧すると、項目設定が非常に難しいと言えます。そこで最近は、加点をあまり推奨せず、目標管理制度を上手く活用してはどうかと考えています。
目標管理制度を上手く活用する
学会発表をすることが、どの程度、病院に貢献しているかというと、発表する前段階として、1年間とか2年間、ある活動をして、医療の質や経営の質に貢献できたので、他の病院でも、これらの質の改善に役立ててもらいたいということで発表するのでしょうから、発表する段階では、それ相当に病院に貢献しているはずです。このような発表であれば、人事評価でトリプル評価になったとしても加点にして問題ないと考えます。しかし、必ずしも、そのような活動にはなってはおらず、単に学会発表のためだけに活動し、発表しているケースもあるのではないかと危惧します。すなわち、学会発表をすることよりも、その中身が重要です。
例えば、筆者は、病院の事務部長時代、地域の小児科の開業医と連携し、地域連携小児夜間診療を行うことを目標に掲げ活動しました。地域の小児科医を訪問して登録医になっていただき、18時30分から22時30分まで夜間診療の支援をお願いし、それにより在職している小児科医師の業務負担を軽減するとともに、入院患者数を5倍に増やすことができ、小児科の医業収益増につなげることができました。この活動結果を、病院の学会で発表したわけですが、当時はまだ地域連携小児夜間・休日診療料を取っている病院も少なく、大変参考になったと参加者からお言葉をいただきました。もともと小児科の救急医療体制を整備し、経営の質を上げるための活動が上手くいったので学会で発表したわけであり、重要なのは学会発表ではなく、経営の質を上げる目標を立てて取り組むことです。しかし、学会に発表することで、自らの活動を数値などを整理しまとめることができたわけですから、そこまでの活動で正解だったと思われます。
目標管理制度の中で、経営の質や医療の質を上げる目標を立て、その結果を他の病院の人たちに知らせることで、他の病院にも貢献できる活動にするということは、評価を高くしてもよいと思われますから、目標達成度の結果に加点をするという方法が、単に学会発表をしたら5点プラスしますというよりも適した運用方法ではないかと考えます。そして、特に経営の質を上げることに貢献したのであれば、目標管理の結果に加点し、賞与にダイレクトに反映させたとしても、業績と処遇とのミスマッチは起こりませんから、職員のインセンティブ効果としてもよい方法だと考えます。
また、単に学会で発表する件数を増やしたいということであれば、表彰制度の項目として、年末の忘年会等で、みんなの前で表彰し金一封を渡すという方法でもよいと思われます。これも病院在職中の話ですが、医師においては、学会発表件数や論文件数などを表彰制度として扱い、年末の忘年会で、院長が表彰状と金一封を渡し、みんなでそれを称えて楽しい時間を過ごしていました。
【2023. 11. 15 Vol.580 医業情報ダイジェスト】
例えば、筆者は、病院の事務部長時代、地域の小児科の開業医と連携し、地域連携小児夜間診療を行うことを目標に掲げ活動しました。地域の小児科医を訪問して登録医になっていただき、18時30分から22時30分まで夜間診療の支援をお願いし、それにより在職している小児科医師の業務負担を軽減するとともに、入院患者数を5倍に増やすことができ、小児科の医業収益増につなげることができました。この活動結果を、病院の学会で発表したわけですが、当時はまだ地域連携小児夜間・休日診療料を取っている病院も少なく、大変参考になったと参加者からお言葉をいただきました。もともと小児科の救急医療体制を整備し、経営の質を上げるための活動が上手くいったので学会で発表したわけであり、重要なのは学会発表ではなく、経営の質を上げる目標を立てて取り組むことです。しかし、学会に発表することで、自らの活動を数値などを整理しまとめることができたわけですから、そこまでの活動で正解だったと思われます。
目標管理制度の中で、経営の質や医療の質を上げる目標を立て、その結果を他の病院の人たちに知らせることで、他の病院にも貢献できる活動にするということは、評価を高くしてもよいと思われますから、目標達成度の結果に加点をするという方法が、単に学会発表をしたら5点プラスしますというよりも適した運用方法ではないかと考えます。そして、特に経営の質を上げることに貢献したのであれば、目標管理の結果に加点し、賞与にダイレクトに反映させたとしても、業績と処遇とのミスマッチは起こりませんから、職員のインセンティブ効果としてもよい方法だと考えます。
また、単に学会で発表する件数を増やしたいということであれば、表彰制度の項目として、年末の忘年会等で、みんなの前で表彰し金一封を渡すという方法でもよいと思われます。これも病院在職中の話ですが、医師においては、学会発表件数や論文件数などを表彰制度として扱い、年末の忘年会で、院長が表彰状と金一封を渡し、みんなでそれを称えて楽しい時間を過ごしていました。
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2024-11-06「疑義解釈資料の送付について(その14)」を追加しました
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