組織・人材育成
育成段階におけるキャリア開発ラダーと目標管理
育成段階の職員が身に付けるべき業務実践能力と教育研究能力
株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功
先日、某法人の人事制度委員会に参加して運用状況を確認した際、キャリア開発ラダー(以下「ラダー」)の活用方法が分からないという意見がありました。ラダーについては、9月に自己評価だけをしてもらい、上司評価はしないので何をしてよいか分からないというのです。これについては、1年間に何度も上司評価を行い指導することは大事なことかもしれないが、年2回の人事評価だけでも上司の負担になるため、ラダーは上司評価を1年に1回としたこと、ラダーは部下が自己の内在する課題に気づき、その課題解決に取り組むためのツールであるから、自己評価に重きを置いているということをお伝えしました。
育成段階の職員にラダーを導入することを推奨していますが、その活用方法は手順書だけでは難しいようです。そこで、今回はラダーの活用について考えます。
育成段階の職員にラダーを導入することを推奨していますが、その活用方法は手順書だけでは難しいようです。そこで、今回はラダーの活用について考えます。
ラダーの評価要素
ラダーは、育成段階の職員が身に付けるべき業務実践能力と教育研究能力という2区分で構成し、職種別に作成しています。例えば、看護師のラダーでは、看護業務実践能力として、①ニーズをとらえる力、②ケアする力、③協働する力、④意思決定を支える力――の4つで能力を表し、項目ごとにした評価要素によって、レベルに応じた具体的な能力を職員に示しています。支援している病院の例では、ラダーレベルⅡ(臨床3~4年)の「意思決定を支える力」においては、①ケアの受け手や周囲の人々の思いや考え、希望を意図的に確認することができる、②確認した思いや考え、希望をケアに関連づけることができる――という2つの評価要素が示されています。
この評価要素の文言で、看護師が自分が身に付けるべき実践能力について十分理解できるのかは分かりません。しかし、万が一理解できないとすれば、自己評価を行った際に指導者に確認すべきでしょう。すなわち、ラダーは、自らの実践能力を高めるために活用するということを、職員に十分理解してもらう必要があるのです。自己評価を1年の内に複数回してもらい、その段階で「できる」、あるいは、自信がなければ「できない」という評価をして、自らできるように努力してもらわなければならないわけです。
自らの能力を高め質の高い看護ができるようになれば、自信と誇りを持って看護ができるようになり、意欲の向上につながります。また、自分が希望する他の病院でも「雇用されうる能力(employability)」を獲得することもできるのですから、自ら能動的にラダーを活用して成長するという意識を持ってもらわなければならないのです。
この評価要素の文言で、看護師が自分が身に付けるべき実践能力について十分理解できるのかは分かりません。しかし、万が一理解できないとすれば、自己評価を行った際に指導者に確認すべきでしょう。すなわち、ラダーは、自らの実践能力を高めるために活用するということを、職員に十分理解してもらう必要があるのです。自己評価を1年の内に複数回してもらい、その段階で「できる」、あるいは、自信がなければ「できない」という評価をして、自らできるように努力してもらわなければならないわけです。
自らの能力を高め質の高い看護ができるようになれば、自信と誇りを持って看護ができるようになり、意欲の向上につながります。また、自分が希望する他の病院でも「雇用されうる能力(employability)」を獲得することもできるのですから、自ら能動的にラダーを活用して成長するという意識を持ってもらわなければならないのです。
ラダーと目標管理
目標管理のあるべき姿は、職員一人一人が、部署目標を達成するための目標を立てて取り組むことです。すなわち、目標管理の目標設定の基本は、「部署目標からブレイクダウンされた目標であること」になります。
しかし、育成段階の職員においては、部署目標からブレイクダウンされた目標でなくてもよいとしている病院もあります。育成段階なのですから、能力開発目標も可能とし、特にラダーをチェックした際に、自信が持てない能力を開発するための目標でもよいと考えます。職員みんなが、部署の目標を達成するために自分は何をすべきかを真剣に考え、目標管理の目標に設定して必ず達成できるように取り組んでもらうことは非常に大事なことであり、この活動により、必ず病院の経営改善につながると信じています。しかし、デューティな目標だけだと、職員が疲弊してしまうことが危惧されます。
自分が研究したいことや、身に付けたい能力など、自由に目標設定をできる部分があることで、職員の疲弊を予防できると思われます。ただし、能力開発目標だとしても、組織から報酬を受けて活動するのですから、何らかの形で組織に影響を及ぼすような目標にしてもらいたいということはお願いしています。そこで、ラダーの能力開発に関わる目標設定の例を下記に示します。
この例では、学んだことを整理してスタッフに配布する、勉強会で説明するといったことも含まれており、能力開発に留まらず組織に良い影響を及ぼす目標と言えます。
しかし、育成段階の職員においては、部署目標からブレイクダウンされた目標でなくてもよいとしている病院もあります。育成段階なのですから、能力開発目標も可能とし、特にラダーをチェックした際に、自信が持てない能力を開発するための目標でもよいと考えます。職員みんなが、部署の目標を達成するために自分は何をすべきかを真剣に考え、目標管理の目標に設定して必ず達成できるように取り組んでもらうことは非常に大事なことであり、この活動により、必ず病院の経営改善につながると信じています。しかし、デューティな目標だけだと、職員が疲弊してしまうことが危惧されます。
自分が研究したいことや、身に付けたい能力など、自由に目標設定をできる部分があることで、職員の疲弊を予防できると思われます。ただし、能力開発目標だとしても、組織から報酬を受けて活動するのですから、何らかの形で組織に影響を及ぼすような目標にしてもらいたいということはお願いしています。そこで、ラダーの能力開発に関わる目標設定の例を下記に示します。
この例では、学んだことを整理してスタッフに配布する、勉強会で説明するといったことも含まれており、能力開発に留まらず組織に良い影響を及ぼす目標と言えます。
ラダーに関わる目標設定の例
【目標】
看護の質の向上のために、患者の意思決定を支える看護について学び、その内容を病棟内に情報発信する(行動目標)。
【手段・方法・時期】
看護の質の向上のために、患者の意思決定を支える看護について学び、その内容を病棟内に情報発信する(行動目標)。
【手段・方法・時期】
- 4月または5月に開催される「患者の意思決定を支える看護の研修会」に参加する。
- 研修会で学んだことを、自分の病棟における場面を想定しながら整理し、理解を深める(6月末迄)。
- 整理した内容をパワーポイントで見える化し、病棟スタッフに配布する(7月末迄)。
- 病棟の勉強会で、整理したパワーポイントの資料を使って説明し、質問や意見交換を行う(8月または9月の勉強会を予定)。
【2024. 1. 15 Vol.584 医業情報ダイジェスト】
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