組織・人材育成
人事評価の理想と現実と決定プロセス
人事評価は年に2回が理想
株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功人事制度の検討会を多くの病院で行っていると、各病院のあり方や幹部の優れた部分などが見えてきます。すなわち、人事制度という、組織にとって重要なシステムを検討し構築していく過程で、その組織の良い面や課題が見えてくるといっても過言ではありません。そこで今回は、人事評価の理想と現実を考えた協議とその決定の過程から、組織に浸透させるシステムを決定するプロセスについて考えます。
人事評価は年に2回が理想
人事評価は年に2回実施するのが、理想と考えます。特に世の中の動きが激しい今日、目標管理は半期で目標を立てて取り組むべきだと考えます。また、人事評価の結果を賞与に反映させるためには、賞与の支給前に評価結果が出ていなければならないことを考えれば、やはり2回は行うべきでしょう。
特に、人事評価をスタートさせたばかりの組織では、その精度は高くないでしょうから、一時的な処遇である賞与に評価結果を反映させるのは妥当な考えです。また、賞与支給における、人事評価結果の一般的な出し方は、S評価は上位5%、A評価は中上位20%、B評価は中位50%、C評価は中下位20%、D評価は下位5%というように、相対的に決め、賞与の予算の範囲内で支給しますから、人件費を膨張させるリスクもありません。このようなことから、人事評価は、最低年に2回行うことを推奨しています。
また、部署業績も賞与に反映させる場合、半期で部署の業績を評価し、次期業績向上を目指すことも大事であり、部署業績の評価と個人の評価を半期で行うことは組織の業績を上げていくためにも有効だと考えます。
しかし、この方法に反対される病院もあります。「今まで人事評価をしたことがないのに、6ケ月に1回評価に追われるのは、職員を疲弊させるのではないか」といった職員の負荷に加え、労働組合が賞与査定に反対しているなど、理由は様々です。法令の範囲内であれば、人事制度に正解はありませんから、病院の現状に合わせて判断してもらうしかありません。実際、年に1回の評価であっても、年間を通して、上司が人事評価のツールを活用して指導を行うことで、人材の育成や組織の活性化につながっているところも多くあります。すなわち、理想と実際の運用を考え、組織として決定する必要があると考えます。
これらを決定するプロセスですが、検討委員会で合議制で決める病院と、最終的に理事長や幹部が決める病院に分かれます。どちらの方法でもいいと思いますが、理事長や幹部が決めるとしても、検討委員会の意見を聞いた上で決めることが大事だと考えます。このようなプロセスがないと、実際に運用する管理職が、人事評価や職員の処遇について真剣に考えないからです。上から一方的に、人事評価というシステムを押しつけるような形は避けるべきでしょう。
また、決定を検討委員会に委ねた場合には、任せた以上は、決まったことを後から翻すようなことはしてはいけません。検討委員会のメンバーの意欲を削ぐだけでなく、組織の効率性やあり方を考えても問題です。
特に、人事評価をスタートさせたばかりの組織では、その精度は高くないでしょうから、一時的な処遇である賞与に評価結果を反映させるのは妥当な考えです。また、賞与支給における、人事評価結果の一般的な出し方は、S評価は上位5%、A評価は中上位20%、B評価は中位50%、C評価は中下位20%、D評価は下位5%というように、相対的に決め、賞与の予算の範囲内で支給しますから、人件費を膨張させるリスクもありません。このようなことから、人事評価は、最低年に2回行うことを推奨しています。
また、部署業績も賞与に反映させる場合、半期で部署の業績を評価し、次期業績向上を目指すことも大事であり、部署業績の評価と個人の評価を半期で行うことは組織の業績を上げていくためにも有効だと考えます。
しかし、この方法に反対される病院もあります。「今まで人事評価をしたことがないのに、6ケ月に1回評価に追われるのは、職員を疲弊させるのではないか」といった職員の負荷に加え、労働組合が賞与査定に反対しているなど、理由は様々です。法令の範囲内であれば、人事制度に正解はありませんから、病院の現状に合わせて判断してもらうしかありません。実際、年に1回の評価であっても、年間を通して、上司が人事評価のツールを活用して指導を行うことで、人材の育成や組織の活性化につながっているところも多くあります。すなわち、理想と実際の運用を考え、組織として決定する必要があると考えます。
これらを決定するプロセスですが、検討委員会で合議制で決める病院と、最終的に理事長や幹部が決める病院に分かれます。どちらの方法でもいいと思いますが、理事長や幹部が決めるとしても、検討委員会の意見を聞いた上で決めることが大事だと考えます。このようなプロセスがないと、実際に運用する管理職が、人事評価や職員の処遇について真剣に考えないからです。上から一方的に、人事評価というシステムを押しつけるような形は避けるべきでしょう。
また、決定を検討委員会に委ねた場合には、任せた以上は、決まったことを後から翻すようなことはしてはいけません。検討委員会のメンバーの意欲を削ぐだけでなく、組織の効率性やあり方を考えても問題です。
人事評価は部下の一面だけでなく総合的に捉えることが理想
病院等を運営する法人で、人事部長がリーダーシップを発揮され、上手な検討プロセスを経ている事例を紹介します。検討メンバーは各事業所から選出された総勢50名ほどですが、決定するのは法人の経営メンバーにあたる10名弱で、人事制度の見直しにつき検討を進めています。
先日も検討が行われ、成果評価という結果評価について意見が分かれました。部下の仕事の結果を幅広く捉える担当業務遂行度の評価を提案したところ、「今まで、結果評価は、目標管理という上司と部下で決めた目標ができたか否かだけを評価して、評価の納得性が高かった。それに対し、部下の仕事の質や量を捉える評価は、部下の仕事全体を見ていなければ正しい評価はできない」という意見が半数を占め、最終的には行わないことに決定しました。全体協議においては「目標を立てたこと以外でしっかりと仕事をしている人は大勢おり、そのような人を評価できるシステムは好ましい」という意見も多くありましたが、最終的には、現実的な運用を考え、経営メンバーが行わないと判断し決定したのです。
人事評価の理想は、部下の一面だけを捉えるのではなく、総合的に見てあげることでしょうから、目標設定をしたこと以外の日常の仕事の結果も評価すべきでしょう。しかし、その理想を実現するのは難しいという判断を経営メンバーがしたことになります。この法人の素晴らしいところは、決定するまでは様々な意見が出されますが、一度幹部が決定したら、皆がそれに従うことです。
理想や理論と現実は違います。1つの理論が、どの組織にも当てはまるのであれば、コンサルタントは必要ありません。マネジメントツールである人事評価制度は、導入する組織によって変わってくるものと考えます。理想と現実を適切に捉え決定するプロセスを見ていると、組織の強み弱みが見えてきます。
【2022. 10. 1 Vol.553 医業情報ダイジェスト】
先日も検討が行われ、成果評価という結果評価について意見が分かれました。部下の仕事の結果を幅広く捉える担当業務遂行度の評価を提案したところ、「今まで、結果評価は、目標管理という上司と部下で決めた目標ができたか否かだけを評価して、評価の納得性が高かった。それに対し、部下の仕事の質や量を捉える評価は、部下の仕事全体を見ていなければ正しい評価はできない」という意見が半数を占め、最終的には行わないことに決定しました。全体協議においては「目標を立てたこと以外でしっかりと仕事をしている人は大勢おり、そのような人を評価できるシステムは好ましい」という意見も多くありましたが、最終的には、現実的な運用を考え、経営メンバーが行わないと判断し決定したのです。
人事評価の理想は、部下の一面だけを捉えるのではなく、総合的に見てあげることでしょうから、目標設定をしたこと以外の日常の仕事の結果も評価すべきでしょう。しかし、その理想を実現するのは難しいという判断を経営メンバーがしたことになります。この法人の素晴らしいところは、決定するまでは様々な意見が出されますが、一度幹部が決定したら、皆がそれに従うことです。
理想や理論と現実は違います。1つの理論が、どの組織にも当てはまるのであれば、コンサルタントは必要ありません。マネジメントツールである人事評価制度は、導入する組織によって変わってくるものと考えます。理想と現実を適切に捉え決定するプロセスを見ていると、組織の強み弱みが見えてきます。
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「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.10)」を追加しました
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